佐賀県の“知の拠点”として半世紀を担ってきた佐賀県立博物館=佐賀市

県指定重要文化財「帝釈天立像」(浄福寺蔵=寄託) 像高110・9センチ。カヤの一材から彫出され、彩色を施さない素木仕上げ。平安時代中期の作と推定される。

長澤芦雪「唐獅子図屏風」 江戸時代の絵師で、大胆な構図が持ち味。ダイナミックに描かれた唐獅子を、金箔を施した背景が際立たせている。

国指定重要文化財「龍雲文縁方格規矩四神鏡」 唐津市の桜馬場遺跡から出土した中国後漢代(弥生時代後期)の鏡。古代中国の神仙思想を反映した銘文が入っている。

国指定重要有形民俗文化財「有明海漁撈用具」(157種293点の一部) 有明海の干潟の生き物たちを捕獲するのに最適な形状をしている漁具。有明海の漁業を理解する上で貴重な資料。

 佐賀県の“知の拠点”を担ってきた佐賀県立博物館が2020年秋、創立50周年を迎える。明治維新100年の記念事業として産声を上げ、その収蔵品は8000点を超えた。特徴的な建物は、近代を代表する名建築の一つとして今なお高く評価され続けている。県博が歩んできた半世紀を、名品とともに振り返る。

 県立博物館オープンは高度経済成長期のまっただ中で、佐賀新聞の紙面にも高揚感が満ちている。この年の回顧記事は、県立博物館の開館を真っ先に挙げて「(1970年は)『華麗』『変革』のイメージで飾られた」と表現している。

 開館前は賛否もあったが、「現実にこれができあがると、論争はいつの間にかスミに押しやられ、グンと前向きの、どうしたら中央との格差を縮められるか、真剣に議論されるようになった」と指摘している。

 こけら落としは「桃山・江戸美術名作展」と銘打ち、宮内庁御物2点をはじめ、国宝3点や、重要文化財22点まで集めた。中でも宮内庁御物の絵画「帝鑑図屏風」(狩野永徳筆)は、この場が初公開だった。

 建物は、建築家の内田祥哉氏と、高橋靗一氏(第一工房)が共同で設計を担当した。当時最新のプレキャストコンクリート技術を用いて立体的に組み上げている。東西南北に張り出した独特の構造は高く評価され、1970年度の日本建築学会作品賞を受賞した。

 当時の推薦理由は「巧みにレイアウトされた周囲の公園と一体化した独自の建築形態によって、佐賀市の新しい文化的象徴としての役割を果たしている」「活力と自信を持った地方文化の将来に結びつけようとする要素のひとつになりうる」とたたえている。

 県立博物館の松本誠一館長は「この博物館の建物は50年たってなお、まったく色あせていない。佐賀の歴史と文化を紹介していくという役割のために、美術館と一体化した展示手法を考えていきたい。いきいきとした見せ方を基本に据えていく」と語る。

 企画展「県博クロニクル-展覧会からみた佐賀県立博物館50年の歩み」が開催中。これまでの企画展の名品から、博物館50年の展示を振り返る。3月8日まで。

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