2020年は、「安倍政治」の最終総括を始めるべき年である。

 在任期間が憲政史上最長となり、1日付の年頭所感で憲法改正をとなえた安倍晋三首相だが、自民党総裁としての任期が21年9月末まで、衆院議員の任期が翌月21日までと、それぞれ2年を切っており、衆院解散・総選挙がいつあってもおかしくない時期に入る。政権復帰からすでに7年超、総括には十分な年月だ。

 今年7月24日には東京五輪が開幕、パラリンピックが閉幕する9月6日までは「政治休戦」となる。さらに7月5日に投開票の東京都知事選挙が6月18日に告示される。

 このため、衆院選は10月以降になるとの見通しが常識的だが、通常国会会期末の解散で都知事選との同日選もあり得るとの見方も残る。

 野党の準備状況次第では、今月始まる通常国会冒頭という奇襲解散もささやかれる。いずれにしても時間が経過すれば衆院選が行われる可能性が高まり続ける年となる。

 安倍首相が任期満了を待たずに退陣し、次期首相となる新たな自民党総裁を選ぶにしても、候補者が安倍政治をどう評価するかが最大の争点だ。

 「1強」と称される安倍政権の7年は、主要野党が分裂して、主導権争いを繰り広げる「多弱野党」の時期だった。

 それに助けられる形で、安倍首相は、政権に返り咲いた12年衆院選以降、19年参院選まで国政選挙で6連勝し、自民党内外に強力なライバルが存在しない「独裁」とも言える状態となっていた。

 そんな中、政権内には安倍首相ら官邸サイドに対する「忖度(そんたく)」がまん延、学校法人の「森友学園」や「加計(かけ)学園」を巡る問題が起きる温床となった。「桜を見る会」問題もその延長線上にあると見られている。

 与党の数の力などを背景に安倍首相は14年、歴代政権が憲法上許されない、としてきた集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定。翌年には安全保障関連法を成立させた。

 解釈変更と安保関連法には野党のみならず、過去の自民党政権下での内閣法制局長官経験者らが反対するなど世論が二分、一連の安倍政権の姿勢を支持するか否かで国民が分断状態となった。

 この前後には特定秘密に指定された国の安全保障に関する重要情報を公務員らが漏えいした場合、懲役刑も科す特定秘密保護法やいわゆる「共謀罪」法を成立させた。

 一方、安倍首相が「私が解決する」と唱えた内外の課題では具体的な成果は乏しい。

 安倍首相は株価上昇や雇用の改善をアピールするが、政権復帰後から続く日銀による大規模金融緩和でも、目標の物価上昇率2%を達成できていない。「国難」と名付けた少子化にも一向に歯止めがかからず、19年の出生数が初めて90万人を割り込む見通しとなった。

 外交も同様だ。北朝鮮による日本人拉致問題について事実上方針を転換し、「条件を付けず」に金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談に臨む決意を示したが、見通しは立っていない。ロシアとの北方領土返還交渉に関しても4島一括から2島先行に基本原則を切り替えたが返還は見えてこない。

 安倍首相が緊密さを誇る米国との関係でも、防衛装備品の「爆買い」が顕著になっている。国益の観点から厳しい総括が必要だ。(共同通信・柿崎明二)

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