女性の活躍について話す佐賀大学芸術地域デザイン学部の小坂智子学部長

 女性活躍推進法の施行や働き方改革に伴って「女性活躍」に対する機運が佐賀県内でも高まりつつある。女性の管理職の増加など社会の変化が見られる一方、企業や地域には「男性優位」の意識が今なお残る。県内でリーダー的な立場に就いて活躍する小林万里子・県副知事と、小坂智子・佐賀大学芸術地域デザイン学部長に自身の経験や問題意識、今後の展望などについて聞いた。

 -女性活躍や男女共同参画の観点から、社会の変化や意識の移り変わりについてどう捉えているか。

 大学を卒業して東京のブリヂストン美術館で採用された頃は男女雇用機会均等法制定(1985年)の前で、一般の企業では、女性の就職は主要業務を担う「総合職」ではなく補助的業務をする「一般職」での採用が中心だった。美術館の女性の学芸員は珍しい時代でもあった。

 長崎国際大学の教員になった20年ほど前を振り返ると、男子学生は就職活動の中で急に社会人として成長する様子が伝わり、社会が男性を育てるシステムになっていると思った。最近は男女間の差をあまり感じず、男女の区別なく雇用して育てる社会のシステムが整ってきているのだろう。

 -佐賀県の地域性や男女共同参画の意識などについて感じることは。

 県内で昨年1月まで開かれた明治維新150年の博覧会で、顕彰された偉人はほとんどが男性だった。「偉人にならう」「『志』を受け継ぐ」と言う時にモデルとして男性しか見えなくなってしまう気がする。地域性は無意識に気が付かない中でつくられるので、そこから抜け落ちるものにも目を向ける必要がある。

 -教育や研究の分野で女性活躍はどうあるべきか。

 女性研究者だけでなく男性を含めて誰もが働きやすい環境を整えることが重要になる。出産や介護などでの支援制度はあるが、それを生かすには組織全体での対応が求められる。佐賀大学では「ダイバーシティ推進室」を中心に女性研究者を育てる新しい仕組みづくりが始まり、さらに進んでいくことを期待している。

 -女性活躍推進法が描く理想に現実を近づけるために必要になることは。

 法的整備が進むにつれて会議に一定の割合の女性が入るようになるなど、女性が活躍できる環境が少しずつ整えられてきてはいるが、不十分である。男性ばかりの組織は単色で、従来型の発想や考え方だけで物事が決まってしまう。女性、外国人、若い世代などダイバーシティー(多様性)の観点が入ると幅広い議論につながるはずだ。

 -小林万里子副知事にエールを。

 副知事の活躍が見えることで女性は勇気づけられるし、若い世代や子どもたちもより頑張れると思う。佐賀には有田焼をはじめとする優れた芸術文化と伝統がたくさんあり、一緒に発信していきたい。

 

こさか・さとこ 1956年生まれ、東京都出身。慶応大学文学部卒、シドニー大学大学院修士課程修了。石橋財団ブリヂストン美術館の学芸員や長崎国際大学教授などを経て、2015年に佐賀大学文化教育学部教授となり、16年から新設の芸術地域デザイン学部の学部長を務める。専門は博物館学、美術史

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