最終節で清水に敗れたものの、J1残留を決めた鳥栖イレブン=12月7日、静岡市のIAIスタジアム日本平

 2019年の佐賀県スポーツ界は、国内トップレベルや世界を相手に戦う選手たちが奮闘した。
 サッカー・J1サガン鳥栖は、最終戦までもつれたし烈な残留争いを勝ち残り、J19年目の切符をつかんだ。県民に夢と希望を与えた元スペイン代表FWのフェルナンド・トーレスは、鳥栖で18年間の現役生活に終止符を打った。
 来年に迫った東京五輪の出場権争いも白熱し、県関係ではセーリング男子の岡田奎樹(24)=唐津西高出身=が代表内定第1号となった。プロ野球では佐賀東高出身の辻発彦監督(61)率いる西武が2年連続のリーグ優勝を果たし、バレーボール女子の久光製薬スプリングス(鳥栖市)もリーグ2連覇を達成した。インターハイや国体では若い世代の活躍が光った。県スポーツ界のこの1年を振り返る。

 

1位 サガン残留、トーレス引退 激動の1年

 サッカー・J1サガン鳥栖は今季リーグ戦を10勝6分け18敗(勝ち点36)の15位で終えた。激しい残留争いに巻き込まれたが、昨季に続いて最終戦で8年連続のJ1残留を決めた。また、8月には元スペイン代表のFWフェルナンド・トーレスが現役を引退。駅前不動産スタジアムで引退セレモニーがあった。
 スペイン人のルイス・カレーラス監督が開幕から率いたが、10試合で1得点しか挙げられず1勝1分け8敗と低迷。昨季に続き、シーズン途中から金明輝(キン・ミョンヒ)監督が指揮を執った。好不調の波はあったが、金監督の下でチーム一丸となり、残留を決めた。
 トーレスは8月のリーグ戦神戸戦で18年の現役生活にピリオドを打った。雄姿を見届けようと、クラブ史上2番目に多い2万3055人が観戦。在籍した約1年でリーグ戦35試合に出場し、5得点。真摯(しんし)に練習に取り組む姿勢を含め、チームに大きな影響を与えた。

 

2位 セーリング岡田(唐津西高出身)五輪へ 「東京」内定第1号

 セーリング男子470級の岡田奎樹(けいじゅ)(24)=唐津西高出身、トヨタ自動車東日本=が2020年の東京五輪代表に決まった。外薗潤平(JR九州)とペアを組み、日本セーリング連盟が定めた選考指定3大会での選考得点がトップとなって基準を満たした。佐賀県関係では代表内定第1号。
 岡田は福岡県出身。5歳から競技を始め、唐津西高時代にアトランタ五輪銀メダリストの重由美子さん(故人)=唐津市出身=らの指導を受けて成長。2人乗りの艇種のスキッパー(舵取り役)として国体優勝やインターハイ連覇、世界大会入賞と数々の実績を残した。地元開催の五輪でメダル獲得を目指している。
 各競技で五輪代表選考レースは大詰めを迎えている。県関係では12年ロンドン、16年リオデジャネイロに続く五輪3大会連続出場が期待されるテコンドー女子の濱田真由(ミキハウス)をはじめ、バドミントン男子ダブルスの嘉村健士(トナミ運輸)、ケイリンの小林優香(鳥栖市出身)、ラグビー7人制女子の堤ほの花(日体大)らの出場が有力視されている。

 

3位 陸上、柔道、レスリング 高校総体3競技日本一

 九州4県を主会場に開かれた「南部九州総体2019」。佐賀県勢は個人種目の活躍が光り、陸上、柔道、レスリングの3競技で4人が頂点に立った。
 レスリングの鳥栖工が“メダルラッシュ”の流れをつくった。個人60キロ級では小野正之助が1年生ながら優勝の快挙を成し遂げると、51キロ級の荒木瑞生は2位、71キロ級の小柴伊織も3位に入った。
 柔道では個人60キロ級の近藤隼斗(佐賀工)がライバルを退け、2連覇を達成。66キロ級の田中龍馬(佐賀商)も頂点に立った。女子78キロ超級では佐賀商1年橋口茉央が3位に輝いた。
 陸上男子5000メートル競歩では、宮原空哉(鳥栖工)が頂点まで上り詰めた。剣道は、男子個人の小川夢希也(敬徳)が2位、女子個人の古川寛華(三養基)が3位となった。

 

4位 バレーVリーグ 久光製薬2年連続女王

 バレーボール・V1リーグ女子の2018~19シーズンで、久光製薬スプリングス(鳥栖市)が2年連続7度目の頂点に立った。
 石井優希、新鍋理沙、岩坂名奈ら日本代表選手と、米国代表のフォルケ・アキンラデウォを中心に躍動。レギュラーラウンドを18勝2敗で通過すると、ファイナルステージを7連勝で決勝に進出した。東レアローズとの決勝はゴールデンセットにもつれ込む大接戦となったが、25―18で優勝をつかみ取った。
 10月に始まった19―20シーズンは現在、暫定4位と苦戦。それでも、主力選手に井上愛里沙や加藤光ら若手選手の力を融合し、チームの立て直しを図っている。年明け早々のファイナルステージで躍進し、目標の3連覇に挑む。

 

5位 辻西武パ連覇 広島・緒方監督は退任

 佐賀東高出身で就任3年目のプロ野球・西武の辻発彦監督(61)が、チームを21年ぶりのパ・リーグ2連覇に導いた。
 米大リーグに挑戦した菊池雄星ら主力が抜けたものの、2年連続本塁打王の山川穂高、首位打者と最優秀選手賞(MVP)に輝いた森友哉らの活躍で、首位ソフトバンクとの最大8.5ゲーム差を逆転した。
 鳥栖高出身で就任5年目の緒方孝市監督(51)が率いる広島は5月に球団新記録の月間20勝を挙げたが、主力選手の不調が長引き、20年ぶりの11連敗もあって4位に終わった。緒方監督は10月に今季限りでの退任を表明した。就任中は2016年から球団初のリーグ3連覇に貢献した。

 

6位 サガン育成年代躍進

 サッカー・J1サガン鳥栖の下部組織が好成績を残し続けた。全国大会でU-15が優勝、U-18は準優勝を果たすなど躍進。クラブの明確な戦略と、情熱を持ったスタッフの充実が成長を促した。
 U-15は日本クラブユース選手権で2年ぶり2度目の頂点に立った。U-18は同大会で準優勝を果たし、12月には国内強豪チームが集結するプレミアリーグへの初昇格も決めた。クラブは、ユース寮などハード面の整備にいち早く取り組み、ユースチームの海外遠征を頻繁に行っている。来季はU-18から4選手がトップチームに昇格する。今後も成長を重ね、国内屈指の育成型クラブを目指していく。

 

7位 トヨタ紡織九州POへ奮闘 18-19年は5位

 日本ハンドボールリーグ男子のトヨタ紡織九州レッドトルネード(神埼市)は、2018―19シーズンを7年ぶりの5位と躍進。今季も上位4強によるプレーオフ(PO)進出を目指して奮闘している。
 7月に始まった19―20シーズンは8勝4分け9敗(勝ち点20)で暫定7位。日本代表GK岩下祐太を中心とした堅守速攻を武器に9月は一時4位につけたが、以降は3度の連敗を許した。リーグ戦は2月に再開。POへ望みをつなぐためにも、残り6戦全勝に向けて全力を注ぐ。

 

8位 茨城国体、県勢33位

 茨城県で9~10月に開かれた第74回国民体育大会で、佐賀県勢は天皇杯順位(男女総合得点)で2年連続33位となった。目標の20位台前半はならなかったが、総得点は前年から4点アップした。
 個人種目の活躍が目立ち、レスリング、ライフル射撃、スポーツクライミングで優勝。団体種目はバレーボール成年女子とラグビー少年男子が準優勝した。佐賀県が進める「SSP構想」の指導者派遣やアスリート受け入れ事業の成果も見え始め、2023年に地元開催される国民スポーツ大会に向けた準備も進んでいる。

 

9位 ヨット連盟補助金不正

 佐賀県ヨット連盟(唐津市)が、国体会場へのヨットの輸送費や指定管理者を務める県ヨットハーバーの宿直業務に関し、県の補助金と業務委託費計約2550万円を不正に受給し、不適切な経理をしていたことが分かった。佐賀県ボート協会(玄海町)でも同様の不正が発覚した。
 県はヨット連盟の指定管理者を取り消し、県スポーツ協会も連盟に対して勧告処分を下した。連盟は不正受給したとされる補助金全額を返還した上で、人員体制を刷新。NPO法人を設立して組織運営し、透明性の確保に努めている。

 

10位 バルーナーズB3参戦

 バスケットボールの佐賀バルーナーズ(佐賀市)が男子Bリーグ3部(B3)に参入した。チームは2018年4月に発足し、B3リーグ準加盟クラブに認定されていた。
 今年9月にリーグ開幕を迎えると、トレイ・ギルダーや小松秀平らが得点源となってチームをけん引。「最短でB1昇格」という目標を掲げて奮闘している。

 

次点 県総合運動場、体育館が改称

 佐賀市日の出にある県総合運動場と県総合体育館のエリアが、「SAGAサンライズパーク」に改称された。2023年に県内で開かれる国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて整備が進んでいる。

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