今年夏に開幕する東京五輪・パラリンピックでは、佐賀県と佐賀、嬉野、唐津の3市がオランダやフィンランド、セルビアなど6カ国の「ホストタウン」にそれぞれ登録されている。県内では7月上旬ごろから各国の事前合宿が本格化し、本番への熱気が高まる。

 

 県は2016年1月のオランダを皮切りに、ニュージーランドやフィジー、タイ、フィンランドのホストタウンに登録された。19年8月には唐津市が単独でセルビアのホストタウンとして連携協定を締結。佐賀、嬉野の両市はオランダ、ニュージーランド、フィジーと交流することになった。

 フィジーを除く5カ国は県内で事前合宿をすることが決まっている。フィンランドは陸上やフェンシングなど最大16競技が佐賀市を中心に最終調整をする。セルビアは優勝候補の3人制バスケットボール男子代表が唐津市で、オランダは空手道代表が嬉野市で汗を流す。パラリンピックではアーチェリーのタイ代表が合宿を検討する動きがある。

佐賀市で合宿をした柔道のフィンランド代表選手(左から1人目と3人目)。練習後は県内の高校生と記念写真に収まった(2019年、佐賀県提供)
強化合宿に訪れたタイのパラ・アーチェリーの選手(手前)。児童の前で技術を披露し、交流を深めた=2019年9月、佐賀市の西与賀小

 合宿の誘致は、県内アスリートの競技力の向上や、スポーツの裾野を広げる狙いもある。陸上の中長距離の有望選手は昨年3月、ニュージーランドでの強化トレーニングや大会に参加した。唐津市では3人制のバスケ教室が開かれた。

 スポーツ以外では、県と連携・交流協定を結んでいるオランダの学生が19年10月に佐賀を訪れ、唐津西高で書道や弓道などの日本文化に触れた。今年3月には県内の学生がタイを訪問する。「フィンランドウイーク」など食や文化を体験できるイベントも県内で開かれており、県は「今年も五輪前後に催しを開き、一過性ではない取り組みにしたい」と話す。

 ■ホストタウン 2020年東京五輪・パラリンピックの開催を契機に、日本の地方自治体が参加国・地域と交流を深めることを目的に、国が推進している取り組み。各自治体が相手国や地域を政府に申請し、認可されれば、ホストタウンに登録される。1998年の長野冬季五輪で、参加国や地域を地元の小中学校ごとに応援した「一校一国運動」をモデルにしている。交流内容はさまざまで、佐賀県は各国の代表選手らの事前合宿を誘致するなど、スポーツ交流をメインに取り組んでいる。音楽や食、伝統舞踊で相手国の文化を体験できるイベントや、高校生らがお互いの国を訪問し合ってホームステイなどで交流する事業もある。

地元は交流心待ち

 「世界で戦う選手は子どもたちの憧れ」「佐賀を訪れてよかったと思ってもらえるように」-。佐賀県内の練習施設や宿泊施設、競技関係者からは、海外選手が訪れる五輪シーズンを心待ちにする声が聞かれる。

事前合宿を心待ちにしている嬉野市中央体育館「U-Spo(ユースポ)」管理人の生田定さん=嬉野市の現地

 「トップ選手を身近に見ることができるなんて」。佐賀商業高校フェンシング部で指導する野本尚子さん(40)は、フィンランド代表が佐賀市で合宿をすることを「生徒たちの刺激になる」と喜ぶ。県内のフェンシングの競技人口は50人余り。他県に比べて少ないため「新たに競技に取り組む人が増えるきっかけになれば」と期待を寄せる。

 嬉野市はオランダの空手道選手を受け入れ、市中央体育館「U-Spo(ユースポ)」での合宿が想定されている。管理人の生田定さん(64)は「嬉野で合宿してよかったと思われるように準備したい」と意気込む。会話やオランダ文化の勉強も始め「最低限のコミュニケーションが取れるようにしたい」と話す。

 ホテルニューオータニ佐賀(佐賀市)は、ニュージーランドとフィンランドの選手団を受け入れる。中野健一支配人(43)は「『ここに泊まってよかった』と言ってもらえるようにしたい」と「おもてなし」の準備に余念がない。チームドクターや栄養士と、既に料理のメニューの検討を始めている。松木治幸統括料理長(54)は「相手はトップアスリートで、普段以上に繊細な対応になる。重圧もあるけれど、楽しみ」と本番を待ち望んでいる。

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