唐津の海で育った若きセーラーが今夏、日の丸を背負って世界に挑む。セーリング男子470級の岡田奎樹(24)=唐津西高出身、トヨタ自動車東日本=は、昨年の代表選考レースを制し、佐賀県関係者として初めて東京五輪の出場権をつかんだ。五輪の舞台は練習拠点の神奈川県・江の島。「金メダルを取りたい。チャンスはある」

東京五輪に向けてパートナーの外薗潤平(右)とともに海上練習に励む岡田奎樹=沖縄県の座間味島沖


 沖縄本島から高速船で50分の座間味島。透き通るように美しい“ケラマブルー”の海で昨年12月、岡田はパートナーの外薗潤平(JR九州)とともに代表合宿に参加した。スピード強化、スタート練習、短いコースを回るレース練習に黙々と取り組んだ。今後も国内外の遠征やレースを重ねながら、本番に備える。

東京五輪でのメダル獲得を目指す岡田奎樹(左)・外薗潤平組=沖縄県の座間味島

 父の影響を受け、初めてヨットに乗ったのは5歳の頃。「世界で一番速くなりたい」という思いは子どもの頃から持っていた。五輪での金メダルを目指し、「メダルを取った人の指導を受けたい」と唐津西高に進み、1996年アトランタ五輪女子470級銀メダリストの重由美子さん(故人)に師事した。
 高校時代の練習はとにかく基本の徹底だった。日の出から日の入りまで海に出た。「(重さんから)言われることのハードルが高く、苦しかった」。高校時代に学んだのは努力することや感謝の気持ちと振り返る。厳しかった重さんに褒めてもらえたことはほとんどない。「いつか認めてもらえるようになりたい」。その思いは競技を続けるモチベーションだ。
 スキッパー(舵取り役)を務める岡田の最大の持ち味は、風を見て、展開を先読みする能力。海の色や波の立ち方など繊細な情報をつかんで風の度合いを判断し、最善のコース取りをする。日本のセーリングでメダルを獲得したのは、重さんを含めて過去2例。現在指導を受けるトヨタ自動車東日本の関一人監督(44)は2004年アテネ五輪男子470級の銅メダリストだ。その関監督をして「ゲームメークに関しては世界(の強豪)に勝っている」と言わしめる。
 五輪本番に向けて現在は、「自分の弱点だった」(岡田)という道具の使い方を強化している。センターポールやマストなど素材が違うさまざまな道具を試せるのは周りの支援があってこそ。「自分だけじゃなくいろんなものを背負っている」と改めて実感している。
 地元で五輪を迎えられることに関しては「食事、住む環境、季節感にズレがない。プラスしかない」と語る。本番まで約7カ月。ホームの風をつかみ、亡き恩師に褒めてもらえるような結果を残す。

 

 ■おかだ・けいじゅ セーリング男子470級東京五輪代表。14歳でアジア大会に出場するなど早くから才能を発揮。唐津西高では2人乗りの艇種のスキッパー(舵取り役)として国体など数々の大会で頂点に立った。早稲田大に進み、現在はトヨタ自動車東日本所属。外薗とのペアで2018年6月のワールドカップ(W杯)マルセイユ大会で3位、同年9月のW杯江の島大会では日本男子初優勝を飾った。19年に開かれた選考レース3大会の合計ポイントで最上位となり、代表に内定した。170センチ、64キロ。24歳。福岡県出身。

東京五輪に向けてパートナーの外薗潤平(右)とともに海上練習に励む岡田奎樹=沖縄県の座間味島沖

このエントリーをはてなブックマークに追加