判決後、記者会見に臨んだ佐藤和威さん(右)と渡部吉泰弁護士=佐賀市の佐賀バルーンミュージアム

 佐賀県鳥栖市内の中学校に通っていた佐藤和威さん(20)ら家族がいじめを巡って鳥栖市などを訴えた訴訟の佐賀地裁判決は、原告側の主張の一部を認めるにとどまった。佐藤さんら原告側は会見を開き、「承服しがたい判決」「これではいじめはなくならない」と憤りや落胆を見せた。

 原告側が主張した約7カ月にわたったとするいじめについて、判決は同級生らによる一部行為の違法性を認めたほかは「悪ふざけや遊びのたぐい」と退けた。代理人弁護士は「裁判所が認めた事実だけでも、異常な関係性が見えてくる。一つ一つの行為を切り離して『これは悪ふざけ』とするのは不思議だ」と批判。市側の責任を問わなかった点も「担任がいじめを認識できなかったから責任がないとした程度の低い認定」と断じた。

 佐藤さんはこの日、「自分のためではなく、声を上げられなかった当時の自分と同じ立場の人の支えになれたら」との思いで、実名と素顔をさらして会見に臨んだ。「事実を認めた加害者だけに責任を問う。それじゃおかしいと思う」と今回の判断に不信感を示した。

 一方、鳥栖市教育委員会は、天野昌明教育長らが会見した。「判決を謙虚に受け止めたい。内容を熟議、精査して、これからのいじめ撲滅への対応を図りたい」と述べた。

 今回のいじめを巡り、13年3月の会見で「いじめではなく犯罪行為に等しい」とした後、訴訟では市教委が態度を一変したように一部受け取られたことについて「いじめを認めていないのではないかと誤解されたが、そういうことではない。最初から重大ないじめと認識して県にも報告し、対応してきた」と否定した。

 被害者と家族に対しては「特に本人に長年にわたって苦しい思いをさせてきたことに私としても申し訳ない気持ちでいっぱい。まだ先もあるかも分からないので、一つ一つ丁寧に対応していきたい」と話した。

 今後の対応については教委事務局で判決を精査し、年内に決めると説明した。

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