佐賀新聞社による主権者教育の出前授業が4日、伊万里市の伊万里特別支援学校で開かれた。高等部の1~3年約30人が講話を通して、選挙権が誰にでも平等にあることや選挙の意義を学んだ。同校の教諭を立候補者に見立てた模擬選挙もあり、投票先の選び方や実際の投票の流れなどについても理解を深めた。

講話と模擬投票を通じて選挙の仕組みや投票先の選び方を学んだ生徒=伊万里市の同校


【多久島デスク講話】 みんなの希望託す人選んで

多久島文樹・NIE推進担当デスクの講話に耳を傾ける生徒

 多久島文樹・NIE推進担当デスクが話した。まず「主権」という言葉について「『主』は中心、『権』は○○ができるという意味で、主人公として何かができるということ」と読み解き、併せて「誰にでもある権利」と強調した。
 選挙の意義については、生徒たちにそれぞれ願いを考えさせた上で「『ライブに行きたい』のような個人的な願いではなく、『信号機を設置してほしい』のように、みんなのための希望をかなえるもの」と説明。「それをみんなの代わりにやってくれそうな人を選ぶのが選挙」と話した。
 住んでいる市町や県、国と階層ごとに選挙があることを伝えるため、8月末の豪雨で冠水した武雄市や大町町の様子を伝える新聞記事を示した。生徒たちに考えたことを尋ねると「いろんな場所に避難所を設置した方がいい」「食料をたくさん送ってあげて」「地下に水が流れるようにして」「全国に募金をお願いしたい」などの意見が。多久島デスクは「『こうしてほしい』と併せて、市長、知事、国会議員など『誰に頼んだらいいか』も考えて、その都度投票に行って」と促した。

 


【模擬選挙】 学校運営と投票方法で選択

 模擬選挙は、伊万里特別支援学校の運営と選挙での投票方法について提案する3人の教諭から選ぶ仕組みで実施した。生徒同士で話し合ったり、選んだ理由について発表したりする時間も設けたところ、生徒の多くは身近な学校運営に関する提案を軸に選びながらも、中には投票方法についての意見もあった。実際の投票用紙を模した紙に記名し、本物の投票箱に一人ずつ投函することで投票の流れも学んだ。

意見を発表する高等部の生徒

 1人目の船津誠人教諭は、体育館の建て替えや運動器具の充実を挙げ「運動で明るい学校に」と提案。期日前投票所を学校に設置する案も訴え「休日に投票に行かずにすむ」「若い人が投票しやすくなる」と述べた。支持する生徒からは「体力が付くし、道具がそろえばみんなが遊べて明るい学校になる」という意見が挙がった。
 2人目の坂井友美教諭は縦割り活動や委員会活動の充実・活性化を提案し、投票方式は「自宅で、自分の都合で投票でき、集計も簡単」としてインターネット投票を推した。支持する生徒は「学校が楽しくなる」「インターネットだと、投票の仕方の動画を見ながらできるだろうから分かりやすいと思う」と期待した。
 3人目の山口圭介教諭は、地域特産の伊万里梨を学校で生産する様子を世界に発信し、できたナシも販売する取り組みを掲げた。投票箱を載せたバスが地区を巡回する方法も提案し「投票所から遠い人も投票しやすい」とした。賛同した生徒は「みんなで伊万里を広めたい」と意見を述べた。
 本物の投票用紙を模した紙を受け取った生徒らは、考えに賛同する教諭の氏名を記入。実際の選挙で使う投票箱に一人一人、真剣な面持ちで投函した。1年の女子生徒は「誰かが投票しないと誰も当選できないのだから、選挙って大事なんだなと思った」と気づきを話した。 

実際の選挙で使われる投票箱に一票を投じ選挙を体験する生徒
選んだ候補者とその理由について意見を交わす生徒


【感想】 ワークシートから

【1年】
■女子 選挙について学んだことで大人の仲間入りをした気分になった。
■女子 選挙がある時は新聞を見て家族で投票に行こうと思った。


【2年】
■男子 模擬投票をする時は少し緊張した。投票できるようになったら投票所に行きたい。自分の願いをかなえるためにも選挙は大切だと感じた。
■女子 来年で18歳になるので、投票の仕方が分かってよかった。
■女子 18歳だからもうすぐ選挙に行かないといけない。まだ不安はあるけれど、授業を受けてなんとか行けそうだと思った。(選挙に向けて)ニュースを見たいと思った。


【3年】
■男子 選挙の時、両親宛ての投票所入場券が来ていて、18歳になったら自分にも来るんだなと楽しみだった。選挙についてはあまり知らなかったが、授業を通して投票の仕方が分かったので、いざ選挙がある時は親と一緒に行きたい。自分の意見を聞いてもらうためにも投票に行かないといけないと思う。
■男子 来年3月で18歳になる。投票できるようになったら、候補者が公約でどんなことを話すのか注目したい。介護などで困っている人を支えられる候補者に投票したい。

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