高嶋章一郎さん「リラックス」

古賀俊士さん「待つ女」

古川昇平さん「佇む」

本田銀子さん「明け方の夢」

南里美紀江さん「約束」

田中一英さん「化学コンビナート」

インタビューに答える東光会の難波滋副理事長=佐賀市の佐賀新聞社

 モチーフの心模様や深層へと迫る創造性と情熱が伝わる。佐賀県立美術館で開催中の「85回記念東光展巡回佐賀展」(東光会佐賀支部緑光会主催、佐賀新聞社共催)には、巡回作品とともに県内作家26人の作品も展示。5年ぶりの地元開催となる巡回展を飾る意欲作の一部を紹介する。

 東京で開いた本展では、県内から高嶋章一郎さん(佐賀市)が会員賞を受賞し、古賀俊士さん(同)が会員に推挙された。

 高嶋さんの受賞作「リラックス」はスケートボードを楽しんだ青年が充実した表情でたたずむ姿を、力強い筆致で描いた。原色系をふんだんに織り込みながらも“騒がしさ”を感じさせない色使いに一日の長がある。古賀さんの「待つ女」は、自画像などを多く手掛ける作家らしく、心情までも浮き彫りにしようとする巧みな人物描写と繊細な色使いが目を引く。

 古川昇平さん(小城市)の「佇む」は、木漏れ日が差し、たくさんの花に包まれた部屋が舞台。逆光で表情が見えにくい人物が何を思うのか、想像をかき立てる。市丸未来さん(同)の「光~2019~」は張り詰めた空気の中、凛としてたたずむ人物像。昨年の本展で会員賞に輝くなど卓越したデッサン力が光る。

 独創的な世界観が際立つ南里美紀江さん(佐賀市)の「約束」や本田銀子さん(同)の「明け方の夢」、現場の空気感までもありありと描いた田中一英さん(同)の「化学コンビナート」などにも注目したい。(古川公弥)

 ▼佐賀市城内の県立美術館で15日まで。入場料は一般700円、学生400円。高校生以下無料。

■東光会・副理事長 難波氏に聞く

 佐賀、素質のある作家多い

 85回記念東光展巡回佐賀展の開催に合わせ、東光会の難波滋副理事長(75)=岡山県=が佐賀新聞社を訪れた。1932(昭和7)年の設立以来、新たな具象絵画を追い求める東光会の魅力や、巡回佐賀展の見どころなどを聞いた。

 -ありのままを描く説明的な絵ではなく、東光会の作家たちは、対象の本質に迫る具象を目指している。

 難波 東光会は作風の幅広さや、テーマの分かりやすさが特長だ。東北から九州まで会員一丸で頑張っている。今年は東北の会員が日展で特選に入り、西日本の会員にも力がある。

 以前は(文化勲章受章者で、東光会会長を務めた)森田茂先生の重厚な画風にならった作品が多かった。今は会員が地方の指導者の優れた点をつかんで、油彩画、水彩画、版画とそれぞれの個性を生かした多彩な絵が集まる。会としては底辺拡大にも力を入れる。趣味で描く人たちにも東光展を身近に感じてもらおうと小品部門を設けている。

 -巡回展では、本展受賞作をはじめ、佐賀支部緑光会の会員の作品と合わせて90点が並ぶ。

 難波 佐賀は素質のある作家が多い。市丸未来さん(小城市)の人物像は、さらりとしている中に、感情をさらけ出すようなタッチが素晴らしい。描いた絵というより“感じた絵”。岡本猛さん(同)の独特な世界観にも注目している。今年、日展の審査員となり、作家として今後、さらに自信が出るのではないか。

 -5年ぶりとなる巡回佐賀展の楽しみ方は。

 難波 鑑賞者は作品に「1対1」で向き合い、作家の気持ちを想像し、対話しながら味わうと面白い。疑問点があれば、会場にいる緑光会の会員に発想や技法について気軽に尋ね、興味を深めてもらいたい。

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