難曲「ラ・カンパネラ」を繊細に奏でる徳永義昭さん=佐賀市川副町の自宅

本業であるノリ漁の作業をする徳永義昭さん=佐賀市川副町

 佐賀市川副町のノリ漁師が、異色の特技で注目を浴びている。特技とは、リストの難曲「ラ・カンパネラ」のピアノ演奏。動画投稿サイト「ユーチューブ」に演奏する姿をアップすると話題になり、各地から演奏会やコンサートへの出演依頼が舞い込む。曲に挑戦して8年目。全国有数のピアノコンクールの舞台に立つことを目標に奮闘する。

 ノリ漁師の徳永義昭さん(59)がピアノを始めたのは7年前。パチンコで70万円もの大損をしたことがきっかけだった。落ち込んでテレビを眺めていると、世界的ピアニストのフジコ・ヘミングがラ・カンパネラを演奏する姿が映し出された。楽器に触れた経験はなかったが「弾いてみたい」と率直な気持ちが湧いてきたという。

 ピアノ教室の講師をしている妻からピアノを借り、1日7時間練習に励む日々が始まった。楽譜も読めず、家族からは「絶対無理」と言われ続けた。ユーチューブの演奏動画を見て、運指を1日ワンフレーズずつ覚えていった。

 本業のノリ漁の繁忙期にも寝る間も削って練習した。「しんどかねぇ、て落ち込むこともあった」。ユーチューブに「ラ・カンパネラ おやじの挑戦」として動画を投稿すると、「感動した」「あなたを目標に自分も頑張る」などのコメントが次々と書き込まれた。「落ち込んだ時に、必ずユーチューブのコメントがくるとさ。がばいうれしかっさね、そいけん頑張れる」

 練習にのめり込んでから、約3カ月で楽譜どおりに指が動くようになった。日に焼けてごつごつした指から、繊細で柔らかな旋律が奏でられる。今では宮城や大阪、福岡での演奏会の出演依頼も増えた。X JAPANの「Forever Love」やショパンの「革命のエチュード」などにも挑戦中で、ステージでは特技の手品も交える。「子どもみたいけどさ、喜んでもらえたり、褒められるとうれしかけんね」

 今後は、約4万5000組が出場する全国のピアノコンクール「ピティナ・ピアノコンペティション」で予選を勝ち抜き、「カンパネラで全国に行くのが目標」と意気込む。

 何度も弾いてきたカンパネラ。「初めはリズムば間違えんで弾くことば考えよった。表現とか間、色んな要素があって初めて音楽になる」。その奥深さに魅了されている。

 ▽2020年4月11日は熊本市のくまもと森都心プラザで「ステラコンサート」、同5月31日には神埼市の喫茶店「ルートヴィヒ」のコンサートに出演予定

このエントリーをはてなブックマークに追加