香港や台湾、中国の情勢について話す福島香織氏=武雄市の武雄センチュリーホテル

香月一昭・大正屋常務

 佐賀新聞社が主催する佐賀西部政経セミナー(4日、武雄市の武雄センチュリーホテル)で、フリージャーナリストの福島香織氏が「習近平の敗北~香港・台湾問題の観点から」のテーマで講演した。福島氏は香港の抗議行動や来年1月の総統選を巡る台湾の動向について「米中代理戦争の構図で、香港問題は世界で起きている米中対立の象徴。中国の現状をみていると、習近平政権は最終的に敗北する」と話した。講演要旨を紹介する。

 

 中国には「末尾に9がつく年は災害が起こる」というジンクスがある。1969年が中ソ紛争、79年はベトナムとの戦争、89年は天安門事件、99年は法輪功の大弾圧、2009年はウイグル騒乱。今年は香港で騒乱が起きている。

 香港には月に1度は出かけて情勢を見ている。中国への容疑者の身柄引き渡しを認める「逃亡犯条例改正」に反対するデモが、過激で急進的な抵抗運動に発展した。ただ逃亡犯条例はきっかけに過ぎず、激化の背景には区議選があった。学生は選挙をきちんと実施することを求め、「これ以上香港の資本の独立が侵され、中国化するのは嫌だ」と民意を示そうとした。

 結果は民主派の圧勝。親中派の勝利と思っていた習近平国家主席がパニックになったという報道もある。側近が都合の悪い情報を上げず、官僚がたいこ持ちになっている状況を考えるとうなずける。

 米議会は香港の状況について香港の民衆に正義があると考えている。人権と自由のために闘う人たちは正義だからだ。そういう意味で香港問題は、米国的な秩序・価値観と、中国的な秩序・価値観の衝突の現場といえる。

 米国的秩序は自由、民主、人権を重視する。中国的秩序とは政治、社会、文化、経済など一切共産党が指導して意見を統一することだ。香港問題は、共産党の指導で異なる意見をまとめ上げる中国的価値観と、多様な意見を認める米国の自由主義的価値観を持つ香港住民が衝突したもので、米中の代理戦争といえる。

 来年1月の台湾総統選は香港問題とリンクしてきた。現政権の民進党は「台湾は台湾」というアイデンティティーを持つ。国民党は勝利すれば「一つの中国」として中国と話し合う姿勢をみせている。香港デモの後、民進党の蔡英文総統の人気が上がったが、台湾の人が、国民党政権になって中台統一の方向に進めば「台湾が中国化する」と恐れたからだろう。

 米国は今、台湾に最新鋭武器提供などで急接近している。在韓米軍撤退も考える中、東アジアの最前線を台湾に置くことも考え、民進党政権の維持を狙っている。そういう構図をみると、台湾総統選も米中代理戦争といえ、世界の価値観や秩序の枠組みが大きく変化する中での動きといえる。

 私は習近平政権について、GDPが急激に下がっている経済状況や社会の不満の深さ、香港や台湾の動き、米国との対立構造などをみると、最終的には敗北すると見ている。

 日本は来春、習主席を国賓待遇で迎えようとしている。天皇陛下が即位後初めて会う国賓となれば、権威付けになる。日本は慎重に考えた方がいいと思う。

 

 

=講演を聴いて=

 

大正屋常務 香月一昭さん

 

 観光業界は、中国、台湾、香港からの観光客を増やすことに力をいれている。

 講演で、習近平政治の今後や台湾の総統選、香港の動向には不安も感じた。国が安定していないと海外に出ることは少なくなるだろう。米中関係とともに今後も注視していきたい。

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