山下惣一さん

唐津市の山下惣一さんらが執筆した「新しい小農」の表紙

 唐津市の農民作家、山下惣一さん(83)が共同代表を務める「小農学会」は、「新しい小農~その歩み・営み・強み~」(創森社)を出版した。大規模化、効率化を求める農業の対極にある小規模な家族経営の農業の価値について、持続性があり、環境や命を育んでいると多角的に論じている。

 世界農業の9割は家族農業が占めている。国連は2018年「小農権利宣言」を採択、小規模農家が食料危機回避と環境保全に対して大きな役割を持つとアピールした。この考えを国内でも広げようと、山下さんは、鹿児島大学副学長を辞めて農業を営む萬田正治さんと共同で「小農学会」を組織した。

 本の中で、山下さんは「どこの国でも小農は立国、救国の礎」と題し、持続性とエネルギー収支の観点から、圧倒的多数の小農を淘(とう)汰(た)・排除してきた農業近代化路線は行き詰まったと指摘。「もうからない」農業の持つ普遍的で崇高な価値を見直そうと訴えている。

 減農薬運動で知られる宇根豊・農と自然の研究所代表(福岡県糸島市)は、注目されるスマート農業を「小農の土台を破壊しようとしている」と批判、コンピューターによる観察や判断は「天地の恵みを受け取る百姓仕事の喜びと相いれない」と論じている。

 同書は税込み2200円。小農学会は会員を募集している。問い合わせ、申し込みは小農学会事務局、ファクス0995(54)3902。

このエントリーをはてなブックマークに追加