ちくわは元々「かまぼこ」と呼ばれていた。竹串のまわりに塗りつけて焼いた形が、ガマの穂に似ていたからと聞けば、そっちの方がむしろしっくりくる。ところが同じ原料を板にのせた新製品が人気を博したおかげで、あわれ本家の座を追われる羽目に◆以前、農水省幹部から聞いた話を思い出す。マレーシアで売られていた高級ブドウのシャインマスカット。甘くて食べやすく栽培もしやすい、日本で開発された「数十年に一度の優良品種」だが、そこには韓国産が手ごろな価格で並んでいた。「将来、シャインマスカットは韓国原産という話になりかねない」◆苗木はまず中国に流出して商標登録され、そこから韓国に渡って海外向けに盛んに栽培されているらしい。発明の特許と同じように、植物の新品種開発にも知的財産権を保護する国際ルールはあるものの、日本側が気づいた時には出願期限の6年を過ぎ、もう手遅れだった◆期待の県産イチゴ「いちごさん」は大丈夫だろうか。先日ハウスから苗が盗まれた。産地回復を目指し開発に歳月を費やした関係者の心痛を思う。県はすでに海外での知的財産権の保護を申請している。いつの間にか外国が産地に…という心配が杞き憂ゆうに終わることを願う◆農業も国際競争力が求められる時代。「佐賀産は高品質」のお株は奪われてはならない。(桑)

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