永松敏彦さん「静物」

杉原紘捷さん「バギーと童」

楢崎重視さん「古刹一偶」

三塩清巳さん「小さな入江のある風景」

岡本猛さん「高架下」

田代利夫さん「港の風景」

金子剛さん「小鳥のいる家族」

佐藤哲さん「JAZZMAN」

難波滋さん「遙照の月」

 力強い造形や綿密な画面構成、繊細なマチエールに的確な色合い-。対象の本質に迫ろうとする作家たちの精神性が画面に宿る。「具象の美」を追求する美術団体「東光会」による85回記念東光展(東光会佐賀支部緑光会主催、佐賀新聞社共催)が、佐賀県立美術館で開かれている。佐賀での巡回展は2014年以来5年ぶり。

 東光会は1932(昭和7)年、輝かしい夜明けを思わせる「光は東方より」を掲げて、洋画家熊岡美彦ら6人が設立した。佐賀支部の緑光会は51(昭和26)年、佐賀大教授の洋画家・故石本秀雄氏が結成した。

 85回記念展は東京都美術館を皮切りに全国8都市を巡回し、佐賀展がフィナーレを飾る。会場には日本芸術院会員の佐藤哲理事長(静岡県)をはじめ、県在住、出身作家らの作品90点を展示する。

 佐藤理事長の「JAZZMAN」は、エネルギッシュなミュージシャン2人が奏でる音色が聞こえてきそうな情景。原色を大胆に配した画面が力強い。

 難波滋副理事長(岡山県)の「遙照の月」は、画面の手前と奥で二つの世界が同時に展開し、物語性を感じさせる。二つの世界にかかる月が神秘性を高める。東光会理事で、緑光会顧問の金子剛さん(佐賀市)の「小鳥のいる家族」はライフワークの家族の肖像。鳥をめでる一家の絆や、ぬくもりが伝わってくる。

 唐津市厳木町出身の三塩清巳さん(神奈川県)の「小さな入江のある風景」は、山の存在感と赤の巧みな使い方が印象的。同市浜玉町出身の楢崎重視さん(東京都)の「古刹一偶」は複雑な色合いと壁の白さが趣深く響き合う。

 審査員で緑光会代表の田代利夫さん(唐津市)は、地元呼子の漁港が舞台の「港の風景」。直線的なタッチと無彩色でとらえた情景から港町の生活感が漂う。

 岡本猛さん(小城市)の「高架下」は酸化させた銀(ぎん)箔(ぱく)をパズルのように配置した独創性が光る。上向きの視線でたたずむ青年が何を思うのか、作品の前で想像してみるのも楽しい。

 審査員ではほかに、武雄市出身の杉原紘捷さん(福岡市)の「バギーと童」と、永松敏彦さん(小城市)の「静物」も目を引く。

 緑光会代表の田代さんは「作家が何を見てどう心を動かされたのか。それぞれの暮らしぶりから生まれるエスプリ(精神性)の世界を堪能してほしい」と話している。

 ▼佐賀市の県立美術館で15日まで。入場料は一般700円、学生400円、高校生以下無料。

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