干し柿作り

 毎年作っていた干し柿を、昨年は作らずに年を越しました。庭には、いなさ、紅いなさ、秀麗と3種類の柿木があって、毎年たわわに実をつけてくれています。しかし、地球規模の気候変動が猛威を振るう中、わが家の柿木も例外ではなく、数年前から実のつき方にも異変が起こっています。

 干し柿作りにはなくてはならない初冬の冷たい風や日中と朝夕の寒暖差が少ない暖かな日が続き、カビやハエに頭を痛めます。知人や友人たちにお裾分けできていた干し柿。何回か作り直しては廃棄を繰り返し、ついに昨年、干し柿のカーテンのない冬を迎えました。集落のあちこちで見掛けていた干し柿のカーテンも、年々減少しています。ビタミン豊富な干し柿は、風邪予防になくてはならないわが家の常備薬でもあります。

 今年の干し柿作りを思案中、友人の息子さん家族が柿を取りに来てくれました。家族で干し柿を作るそうです。静まり返った林道沿いに立つ柿木。子どもたちの笑い声に包まれ、生き生きとした空気が流れる昼下がり。収穫した柿を話題にみんなでいただく自家製の無農薬のミントのお茶は、地産地消。フードマイレージゼロ。おいしいという言葉を聞くと、サステナブル(持続可能)でエコでスローな生活へのエールに聞こえます。

 友人家族のおかげで、干し柿作りをためらっていた夫の心にスイッチが入ったようです。今日は一日干し柿作り。わが家にも久しぶりに柿色のカーテンができました。

 今年は、いつ植えたのかすっかり忘れていたクルミの木に実がなりました。堅い殻に包まれた白い実のほのかに甘く懐かしい味。目も手もかけずにいただく自然の恵みと古き良き食文化をつないでくれる若い世代を前にして、自然の営みのありがたさと循環をしみじみ感じた初冬の山郷です。(地域リポーター・岩田雅予=佐賀市)

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