過労死遺族による講演や、働き方改革をテーマにした講演があった「過労死等防止対策推進シンポジウム」=佐賀市の佐賀大学

 佐賀労働局は、2018年度に長時間労働が疑われる228事業場に労働基準監督署が監督指導を実施した結果、83・3%の190事業場で労働基準関係の法令違反があったと発表した。このうち「過労死ライン」とされる月80時間を超える違法な時間外労働が101事業場で確認された。200時間を超えた事業場も5カ所あった。

 佐賀労働局は「依然として労働者に時間管理を任せ、長時間労働となっている職場がある。是正に向けた取り組みを積極的に行いたい」としている。

 違法な時間外労働を行っていた133事業場のうち、月80時間以上が101事業場(75・9%)、月100時間以上は70事業場(52・6%)、月150時間以上は14事業場(10・5%)だった。200時間以上は運送、製造業などの5事業場で、月に278時間、235時間もの時間外労働をさせていた事業場もあった。

 8人が月100時間以上の時間外労働を行っていた運送業の事業場では、使用者に「時間管理」の認識が薄かった。使用者が運行を労働者任せにせず法令遵守する重要性を共有した。同様に月100時間以上の時間外労働が発生していた別の運送業の事業場では、取引先の都合で扱う物量が著しく増加したことが要因に挙がった。人員の増員を図るとともに、取引先と協議を重ねて改善を図るなど対策を講じた。

 賃金不払い残業は29事業場で確認され、過重労働による健康障害防止措置の未実施は27事業場だった。

 法令違反を確認した190事業場のうち、製造業が最多の48事業場、次いで運輸交通業41事業場、建設業が23事業場だった。

 

■過労死遺族、学生に講演「何のため働くか考えて」

 10年以上前に、過労死で夫を亡くした佐賀県内の遺族が佐賀市の佐賀大学で講演し、これから社会に出る学生に向けメッセージを送った。

 夫を過労死で亡くした女性は管理職をしていた夫について「午前3時に出張のため家を出ることも多く、子どもの行事への参加はほとんどできなかった」と振り返った。亡くなった後、労災申請の中で分かった残業は月平均120時間、最も多い月で150時間にも及んだが「タイムカードはなく、会社は労働時間を把握していなかった」と話した。

 幼い子どもを残した夫の無念、色彩をなくした世界で必死に生きてきた日々に触れながら、これから社会人となる学生に向け、人生を仕事漬けにせず「何のために働くか、常に考えてほしい」と切望した。

 講演を聴いた経済学部2年の女子学生(20)は「ご遺族の講演を聴くのは初めてで衝撃を受けた。姉がちょうど就職する時期なので、無理をしすぎていないかなど家族として耳を傾けていきたいと思った」と受け止めていた。

 講演は、厚労省が11月の「過労死等防止啓発月間」に合わせて企画したシンポジウムの一環。

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