安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡る問題がなかなか収束しない。新たな疑問点が次々と指摘される一方、政府側の説明は納得できるものではなく、公的行事を私物化していたのではないかという疑いは深まる一方だ。

 特に、真相解明に必要な招待者名簿が、共産党議員から提出を求められると、開催から1カ月もたっていないのにもかかわらず、大型シュレッダーで細断、破棄された事実は、公的行事私物化の事実を隠そうとしたのではないかとの深刻な疑念を生んでいる。

 招待者推薦の内訳から後援会が「桜を見る会」の前日に開いた前夜祭の収支、そして名簿破棄に至るまでの詳細を把握でき、また説明する責任があるのは当事者でもある安倍首相以外にいない。

 後ろめたいことがないのであれば、なおさら国会に出て、可能な限り、関係書類を示して野党の質問に答えるべきだ。

 次から次に疑わしい新事実が出てきて、「桜を見る会」を巡る問題は拡散気味だが、大きく三つに分類することができる。まず焦点になったのは安倍首相が「各界において功績、功労のあった方々」という招待基準を無視して、後援会関係者を招いていたのではないかという問題だ。

 桜を見る会は公費で賄われ、酒食も振る舞われる。仮に後援会関係者というだけで招いていたのだとすれば公費を使って後援会関係者をおもてなししていたことになり、まさに私物化に当たる。

 次が、桜を見る会前日に後援会関係者向けに開いた「前夜祭」の夕食会とその会費の金額だ。

 会場が東京都内の高級ホテルだったにもかかわらず会費が相場より安い5千円だったことから、安倍首相の議員事務所が実費不足分を補った公選法違反の可能性や政治資金収支報告書への不記載の疑いが指摘されている。

 桜を見る会を私物化したとの批判に対して安倍首相は11月20日の参院本会議での答弁で、「招待者の基準が曖昧で、結果として招待者の数が膨れあがった」と主張したが、厳格に解釈すべき基準を曖昧に解釈していたのが実態で、答弁は論点をすり替えている。

 また、前夜祭については「夕食会を含め、旅費、宿泊費など全ての費用は参加者の自己負担で支払われている。安倍事務所や後援会としての収入、支出は一切ないことを確認した」と強調。金額に関しては「(参加者の)大多数がホテルの宿泊者という事情を踏まえ、ホテル側が設定した価格との報告を受けている。毎年使っているとか、規模であるとか、宿泊をしているかをホテル側が総合的に勘案して決めることだ」と述べたが、根拠となる資料は示されなかった。

 さらに深刻で、説明に説得力がないのは招待者名簿を破棄してしまったことだ。共産党議員の提出要求の1時間後に大型シュレッダーで細断されており、名簿に安倍首相にとって都合の悪い部分があり、国会に提出されないよう「証拠隠滅」したのではないかとみられている。

 通常は可能なはずの電子データの復元についても菅義偉官房長官は「事務方からできないと聞いている」と説明にならない答弁を繰り返すだけだ。できるはずの潔白の証明をしようとしないのでは自ら潔白ではないと認めていることになる。(共同通信・柿崎明二)

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