宇田川榕菴の『張込帖』には武雄領も所有したモルチール砲の絵図もあった

日本初の植物学の専門書とされる『植学啓原』

日本に初めて化学を本格的に紹介した『舎密開宗』。原典となった蘭書(右)並べて展示している

国重要文化財のモルチール砲(右下)など、佐賀藩武雄領と津山藩の蘭学資料が並ぶ企画展「蘭学の競演」=武雄市図書館・歴史資料館

 江戸後期、蘭学を先進的に学んだ佐賀藩武雄領と津山藩(岡山県津山市)の資料を比較展示する企画展「蘭学の競演」が武雄市図書館・歴史資料館で開かれている。砲術への関心が高かった武雄と医学をリードしていた津山が、西洋の科学技術の同じ分野に関心を寄せていたことなど、当時の蘭学研究の一端がうかがえる。

 学芸員の交流がきっかけで企画展が実現。10月には津山市で「日本を動かす!武雄の蘭学」が先行開催されている。武雄では、津山市提供の資料33件を含め、110件を展示している。

 津山藩には江戸蘭学をリードした藩医の宇田川(うだがわ)家と箕作(みつくり)家があり、西洋の医学や薬学、植物学、化学の蘭書を読み込み翻訳した。武雄領主鍋島茂義はその翻訳書を多数入手して研究資料にしている。

 宇田川榕菴(ようあん)が著した「植学啓原(しょくがくけいげん)」は日本初の植物学の専門書とされる。同書を参考にしたとも考えられる鍋島家制作の「植物絵図」も併せて展示している。

 日本で初めて化学を本格的に紹介した榕菴著の「舎密開宗(せいみかいそう)」については、鍋島家は原典となった蘭書も手に入れており、並べて展示している。

 榕菴は軍事にも興味を広げ、“スクラップ帳”の「張込帖(はりこみちょう)」には西洋式大砲のモルチール砲の絵図を残している。武雄鍋島家は日本人の手で初めて鋳造されたモルチール砲を所有しており、同じ分野に関心を寄せていたことが分かる。

 このほか「解体新書」や、種痘の研究など佐賀藩武雄領の医療に関する資料も多数展示されている。企画展は12月15日まで。12月1日午後2時から特別講演「津山の誇る洋学のはなし」、12月8日と14日の午後2時からはギャラリートークもある。

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