呼子港に停泊するイカ釣り漁船=唐津市呼子町(画像の一部を加工しています)

 全国的にイカの不漁が取り沙汰される中、玄界灘で春から秋にかけて「呼子のイカ」として流通するケンサキイカの佐賀県内漁獲量が減っている。1988年以降、ピーク時は年間2千トンを超えたが、減少傾向が続き2017年には306トンと5分の1以下になり、今年はさらに減少すると研究機関が予測している。唐津市呼子町のイカ料理店をはじめ県内各店でも品薄感が出ており、天候不順や海の環境変化など複合的な要因を指摘する声がある。

 水産研究・教育機構などがまとめた資源評価によると、県内漁業者によるケンサキイカの年間推計漁獲量は1992年の2007トンをピークに減少傾向が続き、99年以降は1千トンを下回るようになった。近年はさらに減少が顕著で、2014年に過去最低の291トンになり、17年も306トンと同水準だった。

 18、19年の漁獲量はまだ公表されていないが、県玄海水産振興センターは「18年は過去最低レベルになる見込みで、19年はさらに下回る」とみている。不漁は全国的な傾向で、ピーク時の92年に1万8990トンだった漁獲量は、17年は7009トンに減っている。

 唐津上場商工会会長で、呼子町で活魚料理店を経営する古賀和裕さん(63)は漁獲量の減少を実感している。沿岸でアコウやアラ、沖ではブリやヒラス、マグロが増えてイカを補食するなど「海中の環境が変わってきている」と指摘する。今年は10月中旬から台風やしけなどで漁業者が海に出ることができない日も続いた。「この仕事を40年やっているが、そんな日が40日続くことはなかった」と話す。

 古賀さんの店は、培ってきた流通ルートで何とか入荷し、提供しているが「イカは単なる水産資源でなく、呼子の大事な観光資源。地域のためにも今後は資源として管理が必要になるのでは」と警鐘を鳴らす。

 80年頃までは年間を通して捕れていたというケンサキイカの現在の漁期は主に5月から10月上旬まで。10月はアオリイカに移行する時期で、これと重なったこともイカの流通量が減った一因とみられている。

 鮮魚店や飲食店の関係者の表情はさえない。神埼市の鮮魚店の江口憲保さん(42)は「既に盆明けから島根県産の冷凍イカしか手に入らないようになった」と話す。10月からはこれも品薄になり「外国産の冷凍イカを初めて扱った」と明かす。佐賀市の「いけす海幸」の中尾昌信さん(56)は「11月から店のいけすにイカが泳いでない。提供できず、お客さんが帰ることもある」と話す。

 県は漁獲量アップを目指し、九州大学や関係各県と情報通信技術を活用した海況の予測システムを開発し、来年度から漁業者に提供する。

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