山口保さん「箱男―寓意の世界―」(S100号)

山口保さん

藤井節さん「のぞきたかった窓・道」(変150号)

石橋正光さん「暁霧の中で」(P100号)

 中央美術協会の第71回「中美展」で、同協会委員の山口保さん(67)=佐賀市=が最高賞の中央美術協会賞に輝いた。さらに会員の藤井節さん(80)=東松浦郡玄海町=が会員賞、同じく会員の石橋正光さん(84)=佐賀市=が会員努力賞を受賞した。

 山口さんは動物と自画像をモチーフとしたシリーズを展開しており、昨年は2席相当の文部科学大臣賞を受賞した。

 今回の受賞作「箱男―寓意の世界―」(S100号)は、環境破壊への怒りがテーマ。箱の中から、レッサーパンダやミーアキャット、フェネックなどが憤怒の表情で飛び出す。ネズミは環境問題の書籍の上で大きく口を開け、ウサギはシニカルな笑みを浮かべる。大小5色の玉に仏の加護や救いの意味を込めた。

 山口さんは「小動物たちと同様、私も我慢できずに飛び出して、問題の深刻さを訴えたかった」。最高賞を喜びつつ「人物を中心に据え、思い切った構成に挑戦したい」とさらなる高みを見据えた。

 母親との思い出の黒いミシンやブリキの玩具をモチーフにする藤井さん。「のぞきたかった窓・道」(変150号)は、戦後、朝鮮半島から引き揚げてくる際にミシンとともに持ち帰ろうとしたが、果たせなかった母のタンスを描いた。

 らせん状に置かれた引き出しの中には、戦争シーンや引き揚げ船、平和をおう歌する様子が描かれている。画面左には未来をイメージし、赤ちゃんの誕生を待つ女性を配置した。

 今年の佐賀美術協会展の洋画部門では最高賞を受賞しており、「見る人に元気を与えられる絵を描き続けたい」と意欲的に語る。

 水辺の風景を描き続ける石橋さん。「暁霧(ぎょうむ)の中で」(P100号)は筑後川支流・巨瀬川の寒ブナ漁がテーマで、雲間から差し込む陽光が霧に反射する一瞬の美をとらえた。昨年、準会員賞を受賞、会員に推挙され「続けて賞をいただき励みになる。いつか人物や祭りが題材の作品にも挑戦できたら」と話す。

 佐賀県からは3人のほか、本村美恵子さん(佐賀市)が新人賞に選ばれ、松尾高子さん(同)が準会員に推挙された。

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