サッカーJ1は今季も激しい残留争いが繰り広げられている。その渦中にあるサガン鳥栖はリーグ戦後半に巻き返し、10勝5分け16敗(勝ち点35)で現在14位。23日の次節・名古屋戦に勝利すれば、他会場の結果次第でJ1残留が決まる。

 Jリーグの規定では、J1の17、18位はJ2へ自動降格し、16位はJ2の3~6位によるプレーオフ戦勝者との入れ替え戦に臨む。

 10日に鳥栖市の駅前不動産スタジアムで行われた松本戦は、残留争いの行方を大きく左右する直接対決だった。ゲームが始まる前の時点で15位の鳥栖の勝ち点は32、17位の松本は2ポイント差の30。1―0で勝った鳥栖は勝ち点を35に伸ばして14位に浮上し、16位・湘南と勝ち点差4、松本との差も5に広げた。残り3試合の状況で、1試合で順位がひっくり返らない差をつくったのは大きい。

 大一番でチームを後押しするスタジアムの応援も素晴らしかった。決勝点を挙げたDF金井貢史は「勝ち点3を絶対に取らないといけないゲームだと、スタジアム全体が分かってくれていた」と感謝した。アウェーに乗り込んできたチームは「スタジアムの雰囲気にのまれた」とそろって口にするが、松本戦はいつも以上に選手と会場が一体となって勝利を目指した結果でもあったろう。

 サッカー界ではJ1リーグを「世界一、実力が拮きっ抗こうするリーグ」とする人が多い。海外の主要な1部リーグでは経営規模の大きなクラブが毎年上位を独占する傾向にあり、18チームのどこが勝利してもおかしくない日本のJ1は異彩を放っている。今季の鳥栖が、リーグ首位のFC東京、2位・横浜、3位・鹿島から白星を奪っていることからも分かる。一方で、少しでもチームの状態が狂えば瞬く間に残留争いに巻き込まれてしまう。夏以降、監督のパワハラ問題に揺れた湘南がまさにそうだ。

 これだけ競争が激しいJ1において、鳥栖は初昇格した2012年から18年の7シーズンで平均47・6点の勝ち点を稼いでいる。勝ち点が最も少なかったのは15年の40。順位は昨季の14位が最低で、それまでは中位以上でフィニッシュしてきた。だからこそ、今季も「勝ち点40」を突破し、一つでも上の順位を達成してほしい。

 まずはJ1残留を成し遂げることだ。23日のアウェー・名古屋戦で鳥栖が勝ち、湘南が敗れ、松本が引き分け以下に終われば、鳥栖のJ1残留が決定する。湘南は首位のFC東京と、松本は2位・横浜Mと当たる。一気に残留を確定させるチャンスは十分にある。

 振り返れば、今季は開幕10試合で1勝1分け8敗、得点もわずか1という危機的な状況からスタート。監督交代でなんとか勝ち点を積み上げることができるようになった。夏場の大事な時期には、元スペイン代表で主力のフェルナンド・トーレス引退のニュースもあった。曲折がありながらも、残留をつかみ取れるところまでたどり着いた。もう一息だ。

 最終盤の順位争いはトーナメント戦のようなものである。J1の地位を守り続け、来季躍進の希望を見いだすためにも、残り3試合を選手、クラブ、そしてサポーターが一丸となって戦い抜こう。(市原康史)

■訂正 「今季の鳥栖が、リーグ首位のFC東京、2位・横浜、3位・鹿島から白星を奪っている」とあるのは誤りでした。横浜FMとは1分1敗でした。

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