中国・原始青瓷(左上)、中国・青花磁器(左下)、韓国・粗質白瓷(右上)、有田・染付磁器(右下)

 前々回、「炻器(せっき)」という種類の焼き物は、明治時代にヨーロッパの焼き物の分類である「stoneware」を直訳して誕生した区分だと記した。現実的には「炻器」は日本人にはなじみが薄いため、驚きはないが、「磁器」もそうだったとしたらどうか。

 日本の江戸時代以前の焼き物の分類は、「土器」と「陶器」の2分割である。「炻器」どころか、「磁器」すらなかったのだ。やはり「炻器」同様、明治時代にヨーロッパの「porcelain」を「磁器」と訳し、分類の中に組み込んだものなのである。

 実は、「じき」と読める焼き物を表す単語には、「磁器」に加え、「瓷器」もある。中国では「瓷器」の表記が一般的で、日本でも古代の灰釉(はいゆう)陶器や緑釉陶器は「瓷器」と総称され、それぞれは「白瓷(しらし)」「青瓷(あおし)」などと呼ばれていた。

 この「磁」と「瓷」の違いは、前者が14世紀初頭ごろから中国景徳鎮で盛んに焼かれ始めた元青花のスタイル、つまり、磁胎で染付製品を主体とする種類を指すのに対して、後者は主に施釉した硬質の焼き物全般を広く含んでいる。

 日本やヨーロッパでは、すでにこの染付製品主体の磁胎の磁器普及後に磁器が創始されるため、磁器と言えば、特にこうした種類の製品を指すようになったのである。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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