肥前吉田焼の「224porcelain」で販売されている「えくぼとほくろ」の陶磁器=嬉野市嬉野町

規格外品のブランド化に取り組む「224porcelain」代表の辻諭さん=嬉野市嬉野町

【2018年2月2日の記事】

 肥前吉田焼(嬉野市)の6窯元は、製造過程で発生する規格外品を安価で一般消費者に提供する直販ショップを一斉に立ち上げた。気泡による微細なくぼみを「えくぼ」、原料の鉄分が焼成されてできる黒い点を「ほくろ」に例え、「えくぼとほくろ」と銘打った共同プロジェクト。各窯元で直接販売するほか、工場も開放して職人による手仕事の価値を伝え、産地のブランド力向上を目指す。

 

◇「規格外品」産地に集客

 嬉野市の肥前吉田焼のプロジェクト「えくぼとほくろ」がもうすぐ2年を迎える。認知度はじわじわと広がりつつあり、売り上げは、昨年2月の事業開始から10月末までで約700万円に上った。仕掛け人で、「224porcelain」代表の辻諭さん(39)は「小さい傷は個性になる。ブランドとして確立しつつある」と話す。

 肥前吉田焼の産地ではこれまで、製造過程のうち年間約3万個が規格外品に該当し、全体の約10%を占めていた。そのため、規格外品は2級品として陶器市で販売したり、専門業者が格安で買い取ったりしていた。産業廃棄物として処分することもあったという。

 プロジェクトは、こうした規格外品を直売する仕組みをつくり、2級品に対する価値観を変えようと試みた。六つの窯元が、規格外品となった陶磁器を「えくぼとほくろ」と銘打ち、通常の半額程度で販売、窯元の工場見学もできるようにした。

 その結果、規格外品を目当てに県内外から窯元を訪れる客が増加。元々、客が直接窯元を訪れるケースが少なかったこともあり、肥前吉田焼窯元協同組合の江口直人代表(57)は「直売することで窯元に足を運んでもらい、お客さんと接する機会ができたことが大きい」と振り返る。主に通常品を扱う肥前吉田焼窯元会館自体の売り上げも「相乗効果で微増しつつある」と実感している。

 2級品を売り出すことに伴う通常品の売り上げやブランドイメージへの影響については「下がっていることはないと思う」とし、「これまで二束三文で売られていたものだった。今のところ成功と言えるのでは」と話す。

 一方、「えくぼとほくろ」の商品は主に、温泉街や商店街から離れた窯元の工場で直売されているため、「来場者の多くは自家用車。窯元までのアクセスが不十分な部分はある」(江口代表)とも明かす。新設される嬉野温泉駅(仮称)から窯元会館までは約4キロだが、新駅開業による集客効果も視野に入れる。

 仕掛け人の辻さんは「温泉旅館とのタイアップなど、新たな企画も考えながら、集客に向けてしっかり準備していきたい」と先を見据えている。

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