竹内栖鳳「海幸」(1940年ごろ、絹本彩色・軸装、36・9×42・9センチ)

新見美術館が所蔵する日本画の名品を楽しむ来場者=唐津市近代図書館美術ホール

上村松園「雪の冨士」(1939年ごろ、絹本彩色・軸装、58・5×58・5センチ)

横山大観「帰漁」(1901年、絹本彩色・軸装、121・2×47・6センチ)

田渕俊夫「刻」(2007年、紙本彩色・額装、116・5×91センチ)

 応挙、大観、松園ら日本画の巨匠たちが唐津に集う。江戸後期から現代作家まで、その時代を代表する日本画家32人の56点を展示する。作品は全て岡山県新見市の新見美術館所蔵で、1000点を超えるコレクションの中から風景、美人画、花鳥図など幅広い名品がそろい、見応えある展観が広がっている。

 

 リアルな写生表現を重視した円山応挙(1733~95年)。「鍾馗(しょうき)図」は無病息災の神を躍動的に描いた。応挙の弟子、長澤蘆雪(ろせつ)(1754~99年)は大胆な構図や奇抜な着想で自由奔放な画風を確立した。「童子火吹」はどこかユーモラスな姿を見せる。

 京都画壇の大家、竹内栖鳳(せいほう)(1864~1942年)。「海幸」は晩年によく魚を描いた栖鳳の優れた筆の技術が表れている。橋本関雪(1883~1945年)の「朝」のサルは、毛の質感も柔らかく、愛らしい姿を捉えている。美人画で名高い上村松園(1875~1949年)の「雪の冨士」も格調高い雰囲気を醸す。

 近代日本画壇の巨匠、横山大観(1868~1958年)の作品も展示。「帰漁」は帰途に就く漁師たちを色彩の濃淡で描き、穏やかな時間を感じさせる。

 現代作家の作品も充実。先月末、文化功労者に選ばれた日本美術院理事長、田渕俊夫さん(1941~)の「刻(とき)」は、月明かりに木々やススキが照らされ、民家の窓に明かりがともる。静謐(せいひつ)な心象風景が広がる。田渕さんと同じく日本美術院で活躍する宮〓(廷のツクリが面の一ノを取る)正明さん(1951~)の「協奏曲」は、バリ島のボートを真上から描いた構図。舟の配置が、へ音記号のようにも見え、リズミカルな印象を与える。

 ほかにも富岡鉄斎、鏑木清方、平山郁夫らの名作も並ぶ。坂元大地学芸員は「優れた日本画作品ならではの情景、空気、色彩を堪能してほしい」と話す。

 

▼特別展新見美術館コレクション「日本画 一度は見たい名品」展は唐津市新興町の市近代図書館美術ホール=電話0955(72)3467=で、12月1日まで(月曜休)。一般500円、高校生以下無料。17、23、12月1日午後2時から、学芸員による作品解説がある(約30分)。  

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