Q 8月の豪雨で裏山の崖が崩れ、隣家の木が倒れて自宅の塀にぶつかり塀が壊れました。塀の修理と倒れてきた木の撤去を求めたいのですが、誰に対して求めればいいのでしょうか。

 A この度の豪雨災害において被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 災害により木が倒れて被害が出た場合、木の占有者が通常必要とされる倒壊等の防止措置を講じておらず、「通常必要とされる安全性を備えていなかった」場合、占有者に対して民法717条2項により損害賠償を求めることができます。

 占有者において必要とされる倒壊等の防止措置を講じており維持管理に過失がない場合には、占有者ではなく木の所有者が賠償責任を負います。所有者の賠償責任は無過失責任とされており、災害による場合でも責任を負うのが原則です。ただし、裁判例上、強風や豪雨などの自然現象によって被害が生じた場合にまで所有者に全額の賠償責任を負わせることは酷であるとして、その自然力を考慮し、所有者の賠償責任を減額したり,責任を免除したりした例もあります。

 ご相談のケースでは、隣家が賃貸であればまず占有者(居住者)に塀の修理を請求することになりますが、居住者に過失がない場合には所有者(賃貸人)に対して修理や賠償を求めることになります。持ち家であれば、隣家の所有者は占有者として必要な維持管理をしていたとしても、所有者として責任を負う可能性があります。

 また、倒れてきた木の撤去については、木の所有者が撤去する義務を負いますので、こちらも隣地の所有者に撤去を求めることになります。

 もっとも、隣家の方も被害にあわれており、このような場合に時間をかけて争うことは双方にとって望ましくない結果となり得ます。お互いが話し合いで誠実に協議することが望ましいですし、当事者同士で話し合うのが難しい場合、弁護士に間に入ってもらうなどの対応も有効かもしれません。

(佐賀県弁護士会災害対策本部 弁護士 半田望 佐賀市)

このエントリーをはてなブックマークに追加