幼少期に味覚を発達させるためには、嚙(か)むことが重要です。

 嚙むことは、食べ物本来の味覚を楽しむこと。食べ物の噛みごたえを変える調理法で変化を持たせます。その調理上のポイントは「切り方」「調理形態」「食材料」の三つあります。

 まず「切り方」ですが、食べやすくと思って、細かく切りすぎる傾向があります。しかし、これは逆効果。食べるということは、口の中で食物を嚙んで小さくしていく過程で食物の味や舌ざわりを知ることです。小さく切ってしまうと、嚙む回数を減らすばかりか、その食べ物の本当の味覚を少なくしてしまいます。したがって、食べ物が本来持っている味覚を楽しみ、嚙む回数を増やすためにも、ちょっと大きめに切ることが大切です。

 「調理形態」では水分がポイントです。一般に水気の多いものはのどごしがよく、フライや焼き物のように水分の少ないものより飲み込みやすくなります。嚙むことの目的の一つに、食べ物を唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすくすることがあります。従って、水分の多いものばかりでなく、水分の少ない食べ物と交互にバランス良くとることも大切です。

 「食材料」で噛みごたえの大きいものといえば海藻やキノコ類、肉類など繊維質のもの。これらは繊維を噛み切らないと飲み込めないので、よく嚙むことになります。ただここで重要なのは、私たちは「嚙む」ためだけに食べるのではないということです。健康な身体を維持するためには栄養バランスを良くすることが大事で、食べ物のバランスが良ければ、自然と嚙む回数も増えます。舌ざわりも含めて食べ物の味覚を楽しみ、健康のためにも調理を工夫してください。

 普段、ご飯に味がないと感じるのは、よく嚙んでいないから。十分に唾液を出していないから、そう感じるのです。つまり、よく嚙んで唾液を十分に出すことにより、天然の調味料を引き出すということです。

 (参考文献 GCデンタルコミュニケーション)

 (佐賀市 北村歯科医院院長 服部信一)

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