有明海沿岸での稲刈り。台風による塩害を受け、収量は落ち込んだ=杵島郡白石町

 「塩害で落ちるとは思っていたが、ここまで悪いとは」。本年産米の作況指数(平年=100)が全国で99となる中、佐賀県は全国最低の63となり、関係者は驚きと失望を隠せない。天候不順に塩害、病害虫の「トリプルパンチ」が大きく響いた。農家は「多量に出たくず米を、どう処理すればいいのか」と頭を抱えている。

 農林水産省が10月末に発表した10月15日時点の作況指数は、1カ月前の93から30ポイントも下落した。前回は、台風による塩害発生前の調査だったため、指数の下落は予想されたが「もしかすると、80を下回るかも」(JA関係者)という受け止めが一般的だった。それが、ふたを開ければ、大規模な塩害が出た2006年の49に次ぐ、調査開始以降ワースト2位の数字。「ちょっと言葉が出なかった」(県農産課)など、関係者のショックは大きい。

 今年は、日照不足に豪雨、高温、害虫、塩害と自然災害が次々に起きた。調査に当たった九州農政局佐賀県拠点は「とにかく悪条件が重なった。塩害だけでなく、トビイロウンカによる被害も大きい」と指摘する。地区別で佐賀平野は59、唐松・伊西地区も79と、九州の平均87をかなり下回っている。

 収穫を目前に塩害や害虫で被害が拡大、農家も落胆している。有明海に近い佐賀市川副町でさがびよりなどを約2ヘクタール栽培する農家は「全部が潮をかぶり、収量は平年の3分の1止まり。これでは、必要経費が回収できるかどうか」と嘆く。規格外のくず米も多く出ていると言い、「何とか、少しでもお金になるよう、あちこちに当たっている」と苦労は続く。

 JA佐賀中央会は「コメの集荷が進んで、各地から少ないとの声が届いていた。数字は63でも、個々の農家ではかなり落ち込んでいる人もいる」と危機感を募らせる。塩害に関し、水稲の品質低下分への農業共済適用などを求めた要請書を既に県などに提出しているが、今後の実態を見て、さらに対応を考える方針だ。

 県農産課の担当者も「今まで豪雨災害への対応に追われたが、今後は、コメ農家が生産意欲を失わないように対策を講じたい」と対応を急ぐ。

このエントリーをはてなブックマークに追加