佐賀平野が秋本番を迎える中、2019佐賀インターナショナルバルーンフェスタが31日に開幕する。11月4日までの5日間、佐賀市の嘉瀬川河川敷を主会場に17の国と地域から123機が参加を予定し、80万人の来場を見込んでいる。今年は大会が始まって40回の節目で、アジア最大級として定着した大会の歴史を振り返るとともに、さらなる地域振興を見据え、新たな一歩を刻む機会にしたい。

 「フライトにベストを尽くす」「佐賀の風は難しいけれど、優勝を目指す」-。参加受け付けを済ませたトップ選手たちの意気込みである。今回の競技飛行は、パシフィックカップとホンダグランプリ第4戦の2部門。彼らにとって佐賀は、ライバルたちとしのぎを削る舞台となるとともに、旧友らと親交を深める場にもなる。

 バルーンフェスタはこの40年間、着実な成長を遂げてきた。1980年、福岡県甘木市(現・朝倉市)で開かれていた大会を移して開催した最初の大会は14機の参加で、観客は3万人だった。それが毎年100機近い参加で、多い時は来場者100万人を超す規模になった。バルーンが佐賀の代名詞になると予測した人は、それほど多くなかったはずだ。

 稲を刈り取った後の田んぼが広がる佐賀平野や嘉瀬川河川敷という地域の特性を生かして大会を成長させる一方、ホームステイなどの交流や多数のボランティア参加など、その国際性と自主性は早くから評価された。行政や企業の支援、市民の協力で着実な歩みを続け、17年目の96年には、全国地域づくり推進協議会の会長賞に輝いている。

 国内でバルーン大会を開いているのは、佐賀と同じく広大な農地が広がる北海道や栃木など。佐賀より古い歴史を誇るところもあるが、73年から2年に1度開かれている世界選手権の誘致は佐賀が3回で、それ以外では栃木が1回だけだ。米国やカナダ、欧州各国などのバルーン関係者から佐賀は高評価を受け続けている。

 バルーンは競技性に加え、「見る」「楽しむ」といった観光面の要素が強く、期間中は県外からも大勢の人が詰め掛ける。心の奥底には大空へのあこがれがあるのだろう。競技内容は直前に決まるため、河川敷からの一斉離陸に出くわすのはまさに幸運だが、身震いするほどの感動が得られる。空にぽっかりと浮かぶバルーンのカラフルな情景が、家族との楽しい思い出や幼い日の記憶になっている人も多いはずだ。

 「佐賀には何もない」と謙遜するのは県民の美徳かもしれないが、バルーンフェスタの存在は大きく、佐賀のイメージを変えたと言っても大げさではない。胸を張って魅力をアピールすべきである。

 40年の中では、関係者のさまざまな努力が重ねられてきた。佐賀空港開港に伴う飛行区域の設定交渉、バルーンさが駅の臨時開設など挙げればきりがないが、それは地域づくりの歴史とも言えよう。

 一つの大会当たり60億~70億円とされる経済波及効果をどう広げていくかなど課題はあるが、磨き上げ方次第でさまざまな分野に好影響を与えるだろう。40回大会記念のディズニーパレードが11月2日、中央大通りで開かれるが、どんな状況が生まれるのか、注目したい。(杉原孝幸)

このエントリーをはてなブックマークに追加