仕事の合間を縫って集まった多久未来プロジェクトのメンバー。蒸した米を手で丁寧にほぐした=多久市東多久町の東鶴酒造

冷ました米を仕込みタンクに運ぶ多久未来プロジェクトのメンバー=多久市東多久町の東鶴酒造

多久未来プロジェクトの仲間に支えられ、仕込み作業に励む東鶴酒造の野中保斉社長(左)=多久市東多久町

 「市民応援」を掲げた純米大吟醸酒「多久」の今季の仕込みが29日、始まった。多久市の若手有志が企画し、販売収益の一部を市民の活動資金に充てる。製造元は8月末の豪雨で被災した地元の東鶴酒造。復活への決意を込め、応急復旧した設備で12月初旬の出荷を目指す。

 市商工会の青年部員を中心に料理人や農家ら約20人が昨年5月、「多久未来プロジェクト」と銘打って活動を始めた。初年度に造った2千本(720ミリリットル)は完売し、本年度から必要経費を除いた収益を基金に積み立て、地域で活動する市民に役立ててもらう。

 東鶴酒造は、こうじ菌を繁殖させる「室(むろ)」と呼ばれる設備が浸水し、井戸水をくみ上げるポンプも水に漬かった。被災直後には市内外の同業者に加え、プロジェクトのメンバーも駆け付けて泥水をかき出した。本格的な設備の更新はこれからだが、野中保斉(やすなり)社長(39)は「酒造りの環境は何とか整った。感謝を込めて新酒を届けたい」と前を向く。

 今季は歳暮商戦に間に合わせようと、比較的早く収穫できる多久市産の主食用米「夢しずく」を原料にした。仕込みにはプロジェクトメンバー9人が集まり、蒸した米を手でほぐし、タンクに運んだ。地元ケーブルテレビ局の社員でプロジェクトリーダーの小川三郎さん(39)は「多久をもっと元気にしたい。その思いで集まったみんなと力を合わせ、頑張っている人を応援したい」と話す。

 720ミリリットル換算で2千本を造り、1本2750円で販売する。要望が多かった一升瓶も加える予定。問い合わせは東鶴酒造、電話0952(76)2421。

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 東鶴酒造は、インターネットを使ったクラウドファンディングで酒蔵の復旧資金を募っている。出資受け付けは専用サイト「マクアケ」まで。

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