8月末の記録的大雨から28日で2カ月になる。深刻な浸水被害に見舞われた武雄市、浸水に鉄工所からの油流出被害も加わった杵島郡大町町では、避難所から被災者が全員退所し、災害対策本部も解散した。災害対応は「応急対応」から「復旧・復興」の段階に入っている。日常を取り戻せていない被災者への十分な支援を続ける一方、災害対応の検証も進めたい。

 浸水被害が甚大だった地域では今も復旧作業が続いている。自宅に戻れず公営住宅や「みなし仮設住宅」で暮らす世帯は60を超える。自宅暮らしでも1階に畳が敷けず、2階住まいの世帯も目立つ。まだ営業を再開できない店舗もある。発災直後の避難生活、家屋や店の片付け、支援を受けるための慣れない事務作業と続いて疲れは相当だろう。体や心のケアにも気を配りたい。

 行政の災害対応は、被災者の支援制度手続きなどまだ繁忙な業務もあるが、発災当初に比べると随分落ち着いてきた。記憶が新しいうちに、今回の豪雨対応の具体的な検証作業を始めたい。

 大雨特別警報も出た記録的大雨では多くの課題も見えた。避難情報の発表、災害ゴミ対応、避難所やボランティアセンターの運営、被災者支援制度の周知など、部門ごとに業務の流れや留意点を記録に残したい。

 避難情報発表では、今回のような深夜の急激な豪雨の際、避難勧告や指示などの情報をどのように出すかを論議すべきだろう。

 武雄市が避難指示を出したのは8月28日の午前5時45分。大雨特別警報発表より5分早かったが、既に至る所で冠水、浸水していた。武雄消防署には午前4時12分以降、浸水して救助を求める119番が相次いでいる。そうした情報を共有して、携帯電話のエリアメールで市民を起こし、避難所への避難ではなく、2階など高い所に身を移す「垂直避難」を呼び掛けることも検討に値しないか。台風など東日本の豪雨被災地では、自宅や車の中で亡くなった人も多い。

 被災者を支援する制度では、被災者が困惑する事態も起きている。家屋の改修で、支払いを済ませていると応急修理制度が適用できないことなどだ。被害状況を写真に撮ることなどと併せ、被災者には予想される支援制度の内容や備え、留意点を早めに知らせておくことが大切だ。国には実情に合うよう運用の見直しを求めたい。

 避難所運営では、障害者や食物アレルギー、ペット同伴者などへの対応はできただろうか。授乳など女性への配慮もある。多様な視点から検証が求められる。ボランティアセンターでは、被災者ニーズの把握や運営に詳しい民間組織との連携なども課題に挙がる。

 大切なことは、検証結果を被災した自治体だけの資料とするのではなく、広く共有、普遍化することだ。水害や地震などで発生する業務を部門ごと時系列で示し、その時々の課題や対処方法を誰でも分かるようにマニュアル化したい。そうすれば、経験がない自治体も参考資料として活用できるし、課題や教訓を加えて磨き上げることができる。

 佐賀での豪雨以降、東日本でも台風や豪雨被害が続いている。「想定外」は通用しなくなった。十分に想定するために、検証して教訓を共有したい。(小野靖久)

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