「地域の健康と笑顔を支えたい」と話す平松克輝さん=小城市のひらまつ病院

日本クラブユースサッカー選手権で2年ぶり2度目の優勝を果たし、喜び合うサガン鳥栖U-15の選手たち=8月、北海道の幕別町運動公園陸上競技場(十勝毎日新聞社提供)

ガラスのベンチ「Water Block(ウォーターブロック)」に座る吉岡徳仁さん=東京都内の事務所

 2019年度の佐賀新聞文化賞(社会部門)に、ひらまつ病院理事長の平松克輝(かつき)さん(72)が選ばれ、文化奨励賞(体育部門)はサガン鳥栖U-15、特別賞(芸術部門)は佐賀市出身のデザイナー吉岡徳仁(とくじん)さん(52)の受賞が決まった。各分野の発展に貢献した受賞者・団体の横顔を紹介する。

 

平松克輝さん(72)ひらまつ病院理事長

病院に六つのスポーツ部

 創部37年目の軟式野球をはじめ六つの競技部を病院内に設け、スポーツ活動に力を注ぐ。「組織を活気づけるにはスポーツが一番」。職員の要望を受けてつくった女子ソフトボール部を除き、全て自身で発案した。

 陸上は、小城市体育協会長の就任が創部の契機になった。就任1年目の2010年、市チームが5位に終わった県内一周駅伝後の反省会で「必ず優勝する」と宣言。陸上経験者を職員に採用するなどして市チームの競技力向上につなげ、13年から7連覇中の常勝チームへと押し上げた。

 選手の頑張りに呼応して沿道の声援は大きくなった。「町を誇りに思い、笑顔が広がる。組織どころか、地域を元気にするスポーツの力は想像以上だった」

 「信じれば成せる」が口癖。18年から2年連続出場の元日の全日本実業団対抗駅伝も「走るからには目指す」と言い続け、半信半疑の部員も本気になった。

 地域の要望に応え、医療体制を充実させてきた病院は現在、17の診療科を展開する。「職員が笑顔でいてこそ地域に尽くせる」。職場の満足度向上が経営者の役目と語る。

 

【奨励賞】

サガン鳥栖U-15

全国ユース選手権で優勝

 サッカー・J1サガン鳥栖の下部組織。今年8月に開かれた中学生世代のクラブチーム日本一を決める「全国クラブユースサッカー選手権」で2年ぶり2度目の頂点に立った。森惠佑監督は「変化を怖がらず、一戦一戦チャレンジできた」と栄冠を勝ち取った要因を語る。

 主に県内出身の中学1~3年生が所属する。平日は学校終わりに夕方から練習し、土日は九州のユースチームなどと試合をする。「一人一人の特徴や個性を伸ばす」。コーチらは、礼節も含め人としての成長を意識した指導を心がける。

 他クラブと比べ、海外遠征を頻繁に行う。この年代から海外選手との対戦は大きな経験となる。「試合を重ねるごとにその姿は大きく変化する」と森監督は選手の成長スピードに驚く。

 育成年代にとって、最大の目標はトップチームに昇格する選手を増やすこと。森監督は「トップチームや世界のクラブにしっかりとつなげるための土台を築き上げたい」とさらなる成長を誓う。

 

【特別賞】

吉岡徳仁さん(52)デザイナー・アーティスト

自由な発想国内外評価

 デザインやアートといった分野に属さない自由な作品が、人を引きつける。「年齢を重ねるごとに自由になっていく感覚がある」。自然から着想を得た美しい作品は、発表されるたびに人を驚かせ、国内外から高い評価を受ける。

 佐賀市出身。有田工高デザイン科卒業後、桑沢デザイン研究所に進んだ。倉俣史朗氏(故人)、三宅一生氏のもとで仕事し、「デザインは自由」だと学んだ。

 独立後、2001年に「Honey―pop(ハニーポップ)」を発表した。正六角柱のハニカム(蜂の巣)構造の紙を広げ、最後に座る重みでいすの形状になる。誰も見たことのなかった新しいいすは、初期の代表作になった。

 「人を楽しませたい、驚かせたい」という思いが創作の原動力。15年には、東日本大震災で被災した福島県南相馬市の小学2年生と桜の絵を描いた。東京五輪の聖火リレーのトーチは、この時の絵から着想した。「時代を超えて残る普遍的なクリエイション(創作物)をつくりたい」

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