受刑者が暮らす広さ11畳ほどの共同室(6人部屋)=鳥栖市山浦町の麓刑務所

麓刑務所の正門。高いコンクリートの壁と鉄格子の向こうに管理棟や居室棟などがある=鳥栖市山浦町

受刑者が暮らす広さ3畳ほどの単独室(個室)。扇風機とテレビがある=鳥栖市山浦町の麓刑務所

施設内の通路の途中にある慈母観音像。抱かれている赤ちゃんが受刑者に見たてられている=鳥栖市山浦町の麓刑務所

 九州で唯一の女子刑務所「麓(ふもと)刑務所」(鳥栖市山浦町、佐藤勝所長)でマスコミ向けの施設見学会が開かれた。受刑者の再犯を防止し、社会復帰支援に務めている一端を垣間見た。26、27日に「ふもと矯正展」があり、一般向けの見学会も行われる。

 戦後の1949(昭和24)年に開設された。定員302人。15日現在は20~91歳の女子受刑者246人を収容している。平均年齢51・7歳。約10年前は40代前半で、少しずつ高齢化が進んでいる。

 敷地面積約4万6千平方メートル。丘陵地にあるため、坂が多い。施設見学は通路を歩いて各部屋や作業場をのぞいていくスタイルで、撮影は厳しく制限された。

 最初は学食のような広い食堂へ。他の刑務所では朝と夜は居室で食事を取るケースが多いが、ここでは集団生活をしている約200人が3食とも食堂でそろって食事をする。主食は麦ご飯。

■6割が刑期3年以内

 次は居室棟へ。単独室(個室)は広さ約3畳で扇風機とテレビがある。エアコンはない。使用が認められている私物は、白い袋に収められていて、部屋の中は「殺風景」と思えるほどきれいに片付けられている。

 トイレは共用。この居室棟は部屋に鍵がないが、他の部屋を訪ねるのは厳禁という。共同室は6人部屋(広さ約11畳)だが、定員に余裕があるため、4人で利用していた。

 受刑者の罪名別は覚せい剤取締法違反40%、窃盗31%、殺人10%の順。70歳以上では窃盗が9割を占め、高齢になるほど窃盗犯が増えるのが女子の特徴という。刑期別では3年未満が6割。刑期終了前に7割が仮釈放で出所する。

 受刑者の一日は規則正しい。平日は午前6時半に起床し、点検(点呼)後、食堂へ。同7時40分から午後4時25分まで昼食を挟んで、矯正や社会復帰のための刑務作業をする。夕食後、同9時の就寝までが余暇の時間で、読書やテレビ、手紙を書くなどして思い思いに過ごす。

 居室棟から食堂へ向かう通路の途中に、慈母観音像があった。60年ほど前に寄贈されたもので、右胸に抱かれている赤ちゃんが受刑者という。

 脇に立つ歌碑には「つくないの(償いの) 道にいそしむ おみな(女)らに あまねくそそぐ 春のみ光」と刻まれている。朝夕に通る際、手を合わせる受刑者がいる。

■刑務官、高い離職率

 作業では縫製や佐賀錦、久留米絣(かすり)を利用した作品、革小物製品などを作っている。佐賀錦作品などは、鳥栖市のふるさと納税返礼品に指定されている。

 職業訓練は介護福祉、医療事務、パソコン操作を学ぶビジネススキルがある。就労をあっせんしており、2018年度は支援対象となった37人のうち5人は出所前に就職が決まった。

 麓刑務所の職員140人の8割を女性が占める。犯罪者と向き合う刑務官は激務で、特に女子刑務官の離職は高い数値で推移し、深刻な状況にあるという。

 幹部は「若手女子刑務官が必死に奮闘していることをぜひ知ってほしい」と話した。

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