Q 8月の豪雨で賃借している店舗が床上浸水しました。早く営業を再開しないといけなかったので、自分で費用を負担してカーペットや壁紙を貼り直しましたが、修繕費用は大家さんに請求できるのでしょうか。

 A この度の豪雨災害において被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 本件のケースでは、個別の契約内容にもよりますが、大家さんに対して修繕費用の一部または全部の請求ができるものと考えます。

 賃貸借の場合、賃貸人は賃借人が賃借物の使用、収益に必要な修繕をする義務を負っています(民法606条1項)。

 もっとも、修繕義務については個別契約で排除することができます。そのため、賃貸借契約上の特約によって賃貸人は修繕義務を負わない、とするケースも少なくありません。ですので,まずは賃貸借契約で民法と異なる定めをしているかどうかを確認する必要があります。

 個別の契約において特に定めがない場合には、民法に基づき賃貸人に対して修繕を求めることができ、賃借人が費用を支出して修繕をした場合にはその費用の請求もできると考えられます。もっとも、修繕を求められるのは使用収益のために必要な範囲に限られるほか、賃借人が過分な費用をかけて修繕をした場合には、全額の請求が認められない可能性もあります。

 個別契約で賃借人が修繕義務を負うとしている場合であっても、災害のような不可抗力による損傷の場合にまで賃借人に修繕義務を課すかどうかについては裁判所の判断も分かれています。したがって、個別契約がある場合であっても、不可抗力によるものとして賃貸人に対して修繕費用の一部または全部の負担を求めることは不可能ではない、と考えます。

 賃貸人による修繕費の負担の有無やその範囲、金額の話し合いがまとまらない場合には裁判所の調停などを利用する方法も考えられます。具体的な請求の可否や方法は弁護士にご相談ください。

(佐賀県弁護士会災害対策本部 弁護士 半田望 佐賀市)

このエントリーをはてなブックマークに追加