「ほろ酔いコンサート」を前に抱負を語る加藤登紀子さん=福岡市内

 来月「ほろ酔いコンサート2019」 陶芸家目指した佐賀から

 大ヒット曲「百万本のバラ」などで知られる歌手の加藤登紀子さんが、全国8都市をまわるツアー「ほろ酔いコンサート2019」を11月、佐賀県内からスタートさせる。若き日の一時期、陶芸家を目指して移り住んだ思い出の地・佐賀を、歌手活動55周年へ向けた“再出発”の地に選んだ。佐賀新聞社のインタビューに応じた。

 -ツアーは佐賀から始まる。佐賀とのゆかりを。

 28歳で獄中の夫(学生運動家だった故・藤本敏夫氏)と結婚した時、もう歌手はできないかもしれないと思って目指したのが、陶芸家だった。

 夫が社会活動家の寒河江善秋さん(1920~77年)の弟子になり、東京で共同生活していた中に伊万里市大川内山の窯元の息子さんがいた。

 その縁で、子どもを連れ、大川内山の窯元に居候させてもらった。子どもが生まれてから1歳になるまで、私が30歳の頃。おむつを洗濯しながら、古い陶片をスケッチしたり、大川内山をあちこち歩いたり。夫は私を「魯山人二世」と呼び、焼き物にのめり込んでいくのを応援してくれた。そういう時期が懐かしい。

 -歌手として来年は55周年を迎える。「知床旅情」「愛の讃歌」、提供曲の「難破船」「わが人生に悔いなし」など数々のヒット曲の中から、どんなコンセプトで選曲するのか。

 最近は自分の中で残しておきたい曲が見えてきた。例えば「あなたに捧げる歌」という曲。ひとつひとつの出会いが、私の歌を生み出してきた。宝物のような出会いに感謝を込めて歌いたい。

 「遠い祖国」という曲も、ひしひしと大切になってきた。旧満州ハルピンで生まれ、2歳8カ月で佐世保に帰ってきた。自分の人生の原点とも言える曲だ。

 今年は、美空ひばりさんの没後30年。九州はひばりさんが最後の力を振り絞って、どうしても行かなきゃとこだわった土地。最後のステージとなった北九州の会場でコンサートもしたし、最晩年のひばりさんを追いかける番組をNHKで作ったりもした。

 ひばりさんの名曲「終りなき旅」は、勝手に私が歌い継ごうと決意している。

 -佐賀公演の会場は、大正時代の姿に復元した旧古賀銀行を改装した建物だ。

 浪漫座があるエリアは、揺れ動いてきた時代の中で歩んできた道を味わえるような歴史的な場所。宮崎駿さんのアニメ映画「紅の豚」でヒロインのマダム・ジーナの声を担当させてもらったが、主題歌「さくらんぼの実る頃」は150年前の明治の歌でよく似合う。

▼佐賀公演は11月16日午後4時から佐賀市の浪漫座で。6500円(全席自由、ドリンク券500円含む)。未就学児入場不可。

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