あれだけ警戒情報が出されていたにもかかわらず、多くの犠牲者が出た台風19号。「命を守る行動を」と呼び掛けていた気象庁は言葉もないのではないか。天皇陛下の即位を祝うパレード延期もやむを得ない事態だろう◆「50年に1度」「数十年に1度」という情報が幾度となく出され、災害への感覚が麻痺(まひ)しつつある。「大型で猛烈な」という表現に「大げさに言っていたが、大したことはなかった」という過去の経験が判断を鈍らせたかもしれない◆実際に午前4時ごろになって避難する途中に流され、行方不明になった人がいた。犠牲者の7割が60歳以上で、自力避難が難しい「要支援者」が多かったとも。わずか半日、いや数時間早く対応できていれば助かった命があったと思うと悔やみきれない◆想定以上だったとの指摘もある。1階天井近くまで浸水した家屋があった。だが、例えば佐賀市北部のハザードマップを見ても主要河川が大雨で決壊した場合、浸水が最大3メートル近くになる地域が大半だ。今回の被害地域はどんな想定であったろうか◆教訓とすべきは、亡くなった方がどういう状況にあったかを知ることだ。ところが、死因を公表していない自治体もあるという。プライバシーの問題はあるが、これでは情報の共有も検証もできず、今後の災害対応につなげることができない。(丸)

 

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