黄色い小さな花を咲かせる落花生。自宅の庭に植えていた苗が育ち、葉が青々と茂っている。ゆで落花生にして殻をむいて食べると、市販のピーナツとはまた違う味が楽しめる◆落花生は、江戸時代に中国から渡来し、明治期に本格的な栽培が始まった。花が咲いた後、マメができる子房と呼ばれる部分の柄が伸びて地中に入り、土の中で実になる。なるほどよく見ると爪楊枝つまようじのような柄が土に刺さるように伸びている◆不思議な仕組みの落花生だが、なぜ地中にマメを作るのだろうか。田中修著『植物はおいしい』によると、ひとつはマメが虫や鳥などに食べられることから守るため。さらにカサカサの殻を身につけて、新たな生育地に移動する手段としているとも◆落花生の産地として全国的に有名なのが千葉県。風味の良さでファンが多く、国産の8割を占める。ところが、甚大な被害が出た台風15号からわずか1カ月余。今度は台風19号が襲った。暴風雨の影響で収穫間近の落花生が倒されたり、土の中で育つマメが露出してしまい、収量が大幅に落ち込む恐れがあるそうだ◆地元の生産者は「40年作ってきて、こんな大きな被害は初めて」と肩を落とす。土の中で実を結ぶ落花生の生きる「知恵」さえ無残に踏みにじる台風の猛威。影響が指摘される温暖化を真剣に考える時に来ている。(丸)

 

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