スマートフォン決済の「ペイペイ」のQRコードを首からかけて利用を促すスタッフら=鳥栖市の駅前不動産スタジアム前

サガン鳥栖のホーム戦で導入されたスマートフォン決済の「ペイペイ」=鳥栖市の駅前不動産スタジアム前

 10月から消費税率が10%に引き上げられたことに合わせ、現金を使わない「キャッシュレス決済」に対し、国の補助で最大5%のポイント還元制度がスタートした。キャッシュレス「後進県」だった佐賀県内でも中小店舗が導入を進め、少しでも「お得」な使い方をしようと消費者に広がりを見せている。「キャッシュレス@さが」で県内事情をリポートしていく。

 消費税増税でキャッシュレス決済にポイント還元制度が導入されるのを機に、佐賀県は、キャッシュレス決済を「インフラ」「おもてなし」と位置付け、普及促進に取り組んでいる。各市町の観光協会、商工団体などを対象にしたセミナーや消費者向け出前講座を開いているほか、多くの人が集まるスポーツ観戦やイベントの売店での利用も進め、広がりが加速してきた。

 5日の土曜日、サッカー・J1サガン鳥栖対FC東京戦が行われた鳥栖市の駅前不動産スタジアム(駅スタ)。売店にキャッシュレス決済システムが初めて導入された。端末はVISAやマスターカードなどのクレジットカードで決済できる「Square(スクエア)」と、スマートフォンの決済アプリ「ペイペイ」。店頭では、スタッフがペイペイのQRコードが書かれたカードを首から下げるなどして、利用を促した。

 トートバッグを購入した三養基郡基山町の西舞人さん(19)は「小銭がない時でも支払いができて便利」。コンビニを中心にキャッシュレスで支払っている鳥栖市の栁郷康之さん(33)も「待ち時間が削減できるし、ポイント還元も魅力の一つ。使える場所が増えれば、もっと便利になる」と期待を寄せる。

 サガン鳥栖を運営するサガン・ドリームスによると、現金での支払いが8割、クレジットカードとペイペイの利用は計2割だった。「予想より多くの利用があり、キャッシュレス化が浸透してきていると感じた」と広報担当者。「将来的にはスタジアム全体でのキャッシュレス化を進め、エンターテインメント性を高めたい」と意欲を見せる。

 県は各市町でのイベントで使えるように促している。19、20日に佐賀市の佐賀城本丸歴史館などの周辺で開かれる「佐賀さいこうフェス2019」では、会場で使える専用コイン(1セット2千円)が購入でき、キャッシュレス決済をすると計11枚と、1枚分が得する試みも。武雄市物産まつり(11月16、17日)や秋の有田陶磁器まつり(11月20日、有田町)などでの導入も予定している。

 県の担当者は「キャッシュレス決済はおもてなしの一つ。満足してもらうインフラとして使える場を増やし、各市町と一緒に工夫しながら取り組んでいきたい」と話す。

■「キャッシュレス派」5割超 県民500人にネットで調査

 佐賀県がインターネットで行ったキャッシュレス決済に関する県民アンケートで、自分は「キャッシュレス派」と答えた人は51.2%で「現金派」の48.8%をわずかに上回った。県内はクレジットカードなどの普及が遅いといわれる中、ネット利用者にはキャッシュレスの波が訪れている実態がうかがえた。

 調査は、10月の消費税増税に向けた参考データ作成のために、県が5月末、民間調査会社に委託してネット上で県内在住者500人に実施した。事業者を対象としたキャッシュレス決済の導入やポイント還元事業の説明会などで結果を示した。

 「あなたは、どちらかというと、キャッシュレス派? 現金派?」という問いには256人がキャッシュレス派と答え、現金派は244人だった。キャッシュレス利用の理由(複数回答)は「ポイントがもらえてお得」(46.0%)、「現金を持ち歩かなくて済む」(37.4%)、「レジでの支払いが楽」(35.8%)の順。現金派は「いくら使ったか分かりやすい」(35.4%)、「どこでも使えて安心」(34.8%)、「キャッシュレスは使いすぎそう」(16.4%)を理由に挙げた。

 1カ月の決済金額は、キャッシュレスが4万6466円、現金が3万4262円で、キャッシュレス払いの方が1万2000円余り多く支出していた。利用する店はコンビニ(71.4%)、スーパー(51.2%)、飲食店(35.4%)の順だった。国のポイント還元事業に関しては89.0%が利用したいと答えた。

 金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)が18~79歳を対象に実施した「金融リテラシー調査2019」では、クレジットカードをほぼ毎日使うのは全国平均10.2%に対し佐賀は5.7%、週に1回程度使うのは全国31.5%に対し、佐賀は22.6%。一方、現金をほぼ毎日使うのは全国48.6%、佐賀57.9%で、現金派が根強い。ネット調査では、ネットやスマートフォンなどの利用に抵抗感が低い人の割合が多いことなどが回答結果に影響していると考えられる。

 国のポイント還元は来年6月まで。県は、キャッシュレス決済の導入について「外国人観光者が増える中、インバウンド対応のためにも重要と考えており、ポイント還元の期間に限らず継続して働き掛けていく」という。

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