あす15日から「第72回新聞週間」が始まる。今年の標語は「新聞を開いて僕は世界を知った」-。徳島市の小林大樹さん(14)の作品である。

 新聞記事を通じて、世界で何が起きているかに触れた瞬間の知的な高ぶりが表現されている。未来を担う若い世代が、新聞を通じて自らの視野が広がったと感じてくれたわけだ。新聞人のひとりとして、これほどうれしいことはない。

 活字離れが指摘される中、新聞業界は新聞を教育現場で活用してもらう「教育に新聞を(NIE)」運動に取り組んできた。佐賀新聞社でも、明治維新にまつわるテーマを取材した記者を学校に派遣したり、新聞の読み方講座を開いたりして、新聞を手にとってもらえるよう工夫を重ねてきた。

 高度に進んだ情報化社会を生き抜くために、どうすればいいか。飛び交うフェイクニュースの中から、何が真実かを見極めるにはどうすればいいのか。

 その答えのひとつが、新聞の活用である。

 来年から実施される新学習指導要領でも「新聞」の活用が明記された。今回の改訂は、教育を通じて「何ができるようになるか」をはっきりと打ち出したのが特徴だ。中でも「思考力・判断力・表現力」の育成において、新聞への期待が高い。

 記者が深く情報を読み解いた上でまとめた記事は、ニュースの背景を知る手がかりとなり、子どもたちに「これからどうしたらよいのか」という未来への視点を持たせる効果もある。

 もちろん、若い世代の教材としてだけでなく、生涯を通じて私たちの人生を豊かにもしてくれる。

 30年にわたるベストセラー『思考の整理学』(筑摩書房)で知られるお茶の水女子大名誉教授の外山滋比古さんが、新聞の活用法を1冊にまとめている。

 タイトルは『新聞大学』(扶桑社)で、超長寿社会をどう生きていくか、そのために新聞を自主学習に役立てようという呼びかけである。その提案は非常に具体的で、見出しの読み方をはじめ、切り抜きの工夫から、休刊日の過ごし方まで、独自の視点で新聞を使いこなすコツを紹介している。

 外山さんは、戸別配達制度を挙げて「新聞大学のテキストは日替わり、毎日、じっとしていても、手許に届くようになっている。それを活用しないという手はない」「新聞大学は世界に誇ることができる」としている。

 今月の消費税引き上げに伴い、定期購読の新聞には軽減税率が適用された。日本新聞協会が訴えてきた「民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財」という社会的な使命が認められた格好だ。だが、これでも十分ではない。欧州各国では「知識に課税しない」という考え方が定着しており、新聞、書籍、雑誌の税率は軽減またはゼロにしているからだ。

 私たちは今、かつてない超高齢化時代を迎えた。外山さんはアメリカで巻き起こった「スタイリッシュ・エイジング(カッコよく老いる)」運動にならって、知識を更新して新たな人生に歩み出す覚悟を求めている。公共財として新聞を使いこなす。それは、人生100年時代を豊かに生きていくための知恵でもある。

(古賀史生)

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