子宮頸がんの原因がHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染であることは、広く認識されるようになりました。ウイルスに感染してすぐにがんになるわけではなく、前がん病変といわれる異形成の段階を経て、がん細胞へと進んでいきます。

 子宮頸がんの検診は、この異形成の段階で見つけてがんになる前に治療をすることが目的です。さらにHPVの検査を受ければ、HPVが陽性で細胞診ではまだ異常がない時期にみつけて注意することもできます。

 日本では年間1万人が子宮頸がんになり3000人が亡くなっています。30年前は、子宮頸がんになる人は40~50代がピークでした。妊娠出産も終えていてがんの治療だけを考えればよかったのです。ところが今、異形成~上皮内癌になる人は20~30代と若年化しています。一方で初産の平均年齢は31歳になり子宮を温存しなくてはならない状況にかわっています。

 異常を早くみつければ子宮を全摘せず妊娠出産を望むことができます。大切な子宮を守るために検診をうけましょう。

 ずいぶん前に子宮頸がんで亡くなられた方が40代で、末の男の子は7歳でした。どんな臓器のがんも嫌ですが、子宮はいのちを育み産み出す臓器です。その子宮にできたがんで命を落とさねばならないことにやるせない思いでした。

 現在、日本では副作用の問題でHPVワクチン接種が進んでいませんが、子宮頸がんで苦しみ亡くなる女性をみてきた産婦人科医にとっては予防できる手段を使えないという非常にもどかしい気持ちです。

 11月17日10時から、子宮頸がんについての市民公開講座が佐賀市のホテルマリターレ創世で開かれます。参加は無料です。子宮頸がん、ワクチンについて知識を深め、ご自身や娘さん、お孫さんのためにどう向き合えばよいのか考えてみませんか。(伊万里市 内山産婦人科副院長、県産婦人科医会理事 内山倫子)

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