講演する精神科医の松本俊彦さん=佐賀県庁

 子どもの自傷行為に詳しい精神科医が8日、児童福祉施設や支援機関の職員研修で講演した。参加した約80人を前に、自ら調査したデータなどを示しながら「自傷を禁じず、安心して『死にたい』と言える関係性を築いて」と呼び掛けた。

 講演したのは自傷行為に関する著書がある国立精神・神経医療研究センター(東京都)の精神科医・松本俊彦さん。

 松本さんの調査では10代の約1割にリストカットの経験があり、うち6割は自傷行為をする理由として「怒りや不安を軽減し、安堵(あんど)感や開放感を得るため」を挙げた。松本さんは「つらい気持ちを抑えようと自傷行為に及んでいる」とし、「説教や叱責(しっせき)は根本的問題解決ではない」と理解を求めた。

 自傷行為が自殺に発展するリスクの高さも指摘。「自傷をやめさせるためではなく、自殺リスクを下げるために支援が必要」と語り、「背景にある困り事を聞いて苦痛を和らげる可能性を探って」と呼び掛けた。

 また、援助する側が心掛けることとして「共に支援する仲間をつくる。必要に応じて地域保健福祉や行政機関を巻き込むなど、自分自身が援助を求める力をつける」などを挙げた。

 不登校を経験した生徒などを受け入れる九州国際高等学園(佐賀市)に務める福富功祐さん(32)は「継続的に子どもを支援するには、関係機関と連携してフォローし合う必要がある」と話していた。

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