夕方5時前から、次々に来て夕食を受け取っていく被災した人たち。奥では婦人会など地域の人たちが調理している=武雄市北方町

夕方5時前から、被災した人たちが次々に来て夕食を受け取っていく。奥では婦人会など地域の人たちが調理している=武雄市北方町

 佐賀県中西部を襲った佐賀豪雨の発災直後から、避難所や被災した人たちに夕食を無償提供しているボランティアの厨房が、武雄市北方町にある。全国のライオンズクラブから寄せられる資金をもとに地元ライオンズクラブが運営、婦人会など地域が調理に協力し、民間運営の「おもやいボランティアセンター」が配達する。それぞれが「自分たちにできること」を担いながら、これまでに5千食以上を提供、被災者を支えている。

 杵藤地区の6ライオンズクラブ(樋口和幸ゾーン代表)が運営する「ライオンズ厨房」。8月31日に武雄市のボランティアセンターで北方保健センターに避難した人たちに炊き出しを始めたのがきっかけで、夕食を用意するようになった。

 家に戻る人が増えてくると、「おもやいボラセン」が、料理ができない世帯や被災して困っている人の要望を把握し、配達を担うようになった。

 調理するのは、ライオンズメンバーや武雄市の各町婦人会、食生活改善協議会、栄養士会などの人たち。各団体の当番制で十数人が集まり、塩サバ、ハンバーグ、オムライス、皿うどん、親子丼など毎日献立を変え、飽きない工夫を重ねている。午後5時ごろに出来たての約200食を用意している。

 約70食は配達している。家を訪ねている人は「台所が使えない人、片付けで疲れきって食事を作る元気が出ない人、まだ畳のない部屋で待っているお年寄りがいる」と被災者の現状を話す。「インスタントが多くなりがちで栄養が心配だからすごく助かる、と喜ばれる」という。

 午後5時ごろになると、夕食を求める人が次々にやって来る。家族4人分を手にした男性(71)は「やっと家で寝られるようになったが、朝昼の食事は支援物資頼み。手作りの温かい料理は本当にありがたい」と笑顔。5食分を受け取った女性(66)も「市営住宅に仮住まいを始めたが、片付けで食事を作る力が出ない。すごく助かる」と頭を下げる。

 東日本大震災などボランティア経験豊富で、厨房運営の中心になっている武雄ライオンズクラブの石永扶佐夫さん(58)は「みんなができることを提供してくれて成り立っている。これまで支援に出掛けた各地からも野菜などが届く。いろんな協力が本当にありがたい」と話す。

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