■油流出 範囲98万平方メートル

 記録的大雨による浸水で杵島郡大町町の佐賀鉄工所大町工場から油が流出。大町町によると、油の流出範囲は約98万平方メートル(98ヘクタール)に及び、中島、下潟地区を中心に広がった。一部では国道34号の北側の住宅にまで流れ着いた。

 23日時点の同町の住宅の被害状況は、これまでに被害調査を実施した309棟のうち、全壊が77棟、大規模半壊が68棟、半壊1棟、一部損壊が129棟。このうち、油の被害にあった住宅は少なくとも100棟以上に上るという。

 被害は農地にも及んだ。中島、下潟地区では、水稲約26ヘクタール、大豆約15ヘクタール、施設園芸のキュウリ0・2ヘクタールの農作物に油が染み込み、すでに処分が始まっている。

 広範囲に被害をもたらした油の流出だが、その流出量を巡っては食い違いもあった。県は当初、工場外に流出した油の量を約5万リットルとしていたが、現地調査をした杵藤地区消防本部(武雄市)は、約11万3千リットルが工場内に流出していたと発表。工場外への流出量は「不明」とした。鉄工所も同様に外部への流出量は「分からない」としている。

 鉄工所からの油の流出は1990年7月の水害時にも発生。当時の佐賀新聞は「油六万リットル(ドラム缶約三百本分)が流出、付近1キロほどに広がった」と伝えた。

■避難所の状況 武雄、大町で30世帯58人

 8月末の記録的豪雨では、多くの住民が避難を余儀なくされた。30日午後3時半までに避難指示、勧告は、武雄市と杵島郡大町町を除いて解除されたが、県によると、この時点で避難所に身を寄せていたのは、武雄市、小城市、大町町で208世帯344人だった。

 その後、9月4日には、斜面の一部が崩落していた大町町のボタ山の安全性が確認されたことや、土砂災害の状況確認が終わったことなどから、武雄市と大町町で避難指示が解除された。

 ただ、大雨に伴う浸水や、鉄工所から流出した油の影響で、武雄市と大町町では避難所生活を続けざるを得ない住民も少なくない。25日午前時点で避難所は、大町町に2カ所で18世帯28人、武雄市では自主避難所を含めて2カ所で12世帯30人。避難所に指定されていた武雄市の朝日小学校体育館は、20日午後7時に閉鎖した。

■ボランティアの状況 5市町で1万人超受け入れ

 佐賀豪雨の被災地には、県内外から1カ月で延べ1万人を超えるボランティアが駆け付け、復旧復興を後押ししている。

 受け入れ窓口となるボランティアセンターは8月31日~9月1日に佐賀、多久、小城、武雄、大町の5市町で設置された。いずれも市町の社会福祉協議会が主体となって運営し、支援を待つ被災者につないだ。

 県社協によると、5市町のセンターでは25日までに延べ1万107人を受け入れた。このうち浸水被害が大きかった武雄市が半数、大町町が4分の1を占め、被災直後や週末にはそれぞれ数百人が集まった。

 被災から1カ月たった現在も武雄市と大町町はセンターを開設しているが、佐賀市、多久市、小城市は随時対応に切り替えている。

 社協とは別に独自に活動するボランティア団体もあった。武雄市では地元有志らが第2のボランティアセンターを立ち上げ、25日までに延べ約1900人を受け入れた。潜在ニーズの掘り起こしなど、社協の手が回りにくい部分をカバーする役割を果たした。ほかにも被災地支援の経験が豊富なボランティアたちが、避難所生活や復旧を支えた。

■災害ごみ 5市町で2.2万トン、広域処理も

 記録的大雨による浸水で、大量の災害ごみが発生した。特に浸水被害が広範囲にわたった武雄市や杵島郡大町町では、ごみの集積、処理の問題に直面し、被災直後は集積場がすぐに満杯になって急きょ場所を変更するなど現場では混乱も見られた。

 武雄市では、災害ごみの総量が推計1万8千トン(13日現在)と、2週間程度で市の1年間のごみ排出量1万3千トンを上回る規模に膨らんだ。大町町でも2500トン(12日現在)に達し、両市町などが共同で運営する「さが西部クリーンセンター」(伊万里市)だけで対応が追いつかない状況になった。

 そのため国や県に県内外の施設と連携した「広域処理」などの支援を要請、福岡、長崎県内の自治体が受け入れを表明した。

 その他の市町でも、多久市と小城市でそれぞれ552トン(25日現在)、佐賀市で313トン(同)に上り、武雄、大町を含めた5市町だけで2万2千トン近くになる。

 また被災地では、災害ごみに便乗したとみられる粗大ごみが持ち込まれるケースも発生。受け入れ場所で罹災(りさい)証明書の提示を求める自衛策を講じる自治体が出るなど波紋を広げた。

被害額 325億円、平成以降ワースト2

 佐賀県によると、8月末の記録的な大雨による農林水産、商工業、公共土木関係などの被害額は、24日午前8時半までのまとめで約325億3807万円に膨らんでいる。平成以降の自然災害による被害としては、平成2年7月の水害に次ぐ規模で、今後も増加する可能性がある。

 農林水産関係では、冠水や土砂流入で収穫量の減収などの被害を受けた農畜産物は6384ヘクタールで約10億5536万円に上る。農道や水路など土地改良施設が1384カ所で約48億6646万円、農地は1381カ所で約35億4699万円。学校関係の施設被害は公立小学校が3カ所、公立高校は1カ所、社会教育施設は1カ所。このうち、武雄高ではのり面が崩壊する被害が出て、被害額は約5231万円となった。

 公共土木施設では、河川の堤防や護岸の損傷が336カ所で約32億6060万円、県道などの崩落などは222カ所で約28億8390万円に上る。また、商工関係では工業原材料や生産機械器具などで約129億5378万円となり、平成以降では最大。このほか、佐賀市内の公共施設2カ所で約263万円の被害が出ている。

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