浸水被害でレーンを張り替え、機械類もすべて更新されるタケオボウル=武雄市朝日町

 佐賀県を襲った記録的大雨から28日で1カ月。浸水被害が大きかった武雄市や杵島郡大町町では、商店の営業再開など復旧が進む一方、長時間の浸水や鉄工所からの油流出の被害を受けた地域は、大規模な改修を進める住宅や店舗、施設も多い。大工不足や厨房機器調達などの難題と向き合いながら、復興への歩みを進めている。

 「浸水でレーンも機械も全てだめになり、米国のメーカーに発注している。4カ月はかかるといわれているから、12月下旬の営業再開を目指して頑張っている」。武雄市朝日町のボウリング場「タケオボウル」を運営する「メリーランド」の山口修代社長は厳しい表情だ。

 メリーランドはボウリング場周辺で24時間スーパー、音楽や映像のレンタル店、飲食店など十数施設に敷地を提供しているが、半数はまだ再開できていない。スーパーのマックスバリュは「今後の防災対策を含めて店内レイアウトの協議中で、11月中の営業再開を目指して作業を進めている」という。

 同様に丸一日浸水が続いた武雄市北方町の国道34号沿いでは、スーパーやドラッグストア、ホームセンターなどは営業再開できたが、飲食店の多くは全面的な改装中。武雄市商工会は「二十数店あるが、浸水被害を受けて営業を再開できたのは5店」という。

 「焼肉中山」の中山文夫さん(52)は「煙を外に出すダクトに水が入り、床や壁を含めて全面改装している。ダクトが特殊で納入に時間がかかる。10月中旬には再開したいが、保険がどこまで認めてくれるかがまだ決まらず、工事の規模も決められない」と話す。

 各店は「掃除は終わったが、大工さん待ち状態」「特殊な冷凍庫の調達に時間がかかりそう」と話し、さまざまなハードルを超えながらの作業になっている。

 鉄工所から油が流出した大町町の住宅復旧も時間がかかっている。山中敏光さん(69)は「油が染み込んだ家具は全て処分した。消毒や換気をしているが、においはまだ少し残る」という。罹災(りさい)証明で「全壊」判定は受けたが、まだ工事の見積もりを取っている段階。「鉄工所などの補償がしっかり決まらないと動きづらい。まだまだ時間がかかる」と不安げな様子を見せた。

 長時間にわたって浸水した武雄市朝日町の高橋地区の住宅も同様で、多くの家がまだ乾燥を続け「畳を頼んでいるがいつ来るかは分からない」状態。90歳の女性は「家族5人が娘の家に泊まりながら、毎日片付けに来ている。1カ月になるとさすがに…」と疲れた表情で話した。

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