8月末に届いたレジの納品準備。生産が追い付かず、メーカーからの納品はいつになるか分からない状態が続いているという=武雄市のヤマサキ商事

 10月1日の消費税増税まで1週間と迫る中、佐賀県内の中小の店舗でも10%と8%の税率を書き分ける軽減税率対応レジの導入に追われている。レジ導入補助金の利用が少ないと国が心配する一方で、補助金申請に間に合わせようと注文が殺到し、レジメーカーは生産が追い付かないでいる。県内は8月28日の記録的豪雨で武雄市や大町町などが被害を受け、被災地域での対応は、とりわけ難しくなっている。

 国はレジ1台当たり20万円を上限に、導入費用の4分の3を補助する。九州経済産業局によると、補助金の申請件数は全国で想定の約4割にとどまっており、担当者は「佐賀は平均的な傾向で、決して進んでいるとは言えない」と話す。国は「レジの購入契約、納入、支払いまでを9月末までに完了」としていた補助要件を8月下旬に緩和、購入契約を9月末までに終えれば補助金を交付するようにし、対応レジの導入を急ぐよう呼び掛けている。

 レジメーカー3社を扱う事務機器総合商社ヤマサキ商事(武雄市)は7月前半に品薄状態、同下旬には突然、メーカーの生産が追い付かず、納品のめどが立たなくなったという。社長がインターネットで購入を試みたが品物はなく、通販サイト・アマゾンから「レジの在庫ありませんか」と電話で問い合わせもあり、品不足の深刻さを痛感した。補助要件緩和で「確約はできないが間に合うかもしれない」と言い、武雄・大町地区で被災した事業所から復旧の依頼も入る中、対応に駆け回っている。

 軽減税率導入で、店内で食べると税率10%、持ち帰ると8%になる商品を扱う飲食店では、混乱も予想される。佐賀市のピザ店はタブレット型端末を使った電子決済システム「Air(エア)レジ」を導入した。10月以降、当面は店内飲食も、持ち帰りも一律8%に据え置く。「増税直後は店も客も混乱すると思う。慣れるまでは8%のままでいきたい」と動向を見守る。

 佐賀市のハンバーガー店は、持ち帰りは8%、店内飲食は10%とするが、本体価格を調整して価格を同じにする。店内飲食の価格を実質値下げすることになるが「店員やお客さんが混乱するよりはいい」。

 一方、佐賀市で長年、青果店を営む女性(70)は業者に勧められ、対応レジを買うつもりでいたが、思いとどまった。「うちは地域の顔見知りが来る程度。青果店で扱う品は8%ばかりだし、手書きの領収書で十分」と言う。ただ「税の申告は大変そう」とも。仕入れで青果は税率8%だが、パックなど容器は10%で購入するため、区別が要る。「どうすればいいか」と不安を残す。

 8月末の記録的豪雨で武雄市や大町町が広範囲に浸水し、被災者は「消費税どころじゃない」状況に陥っている。武雄市商工会や大町町商工会によると、購入したばかりの対応レジや領収書が流されてなくなった話を聞くという。店の再開に奔走している中で、「9月中の契約にまで、物理的にも心理的にも追い付いていかない。国には特例措置などを検討してほしい」と関係者は話す。

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