江戸時代初期の唐津焼。炻器質だが、陶器に分類される

 周知の通り、現代の日本においては、焼き物は「土器」「陶器」「炻器せっき」「磁器」に4分割される。しかし、これはいわば理論上の区分で、日本人が普段使いするのは、「土器」「陶器」「磁器」の3分割である。つまり、低温焼成で無釉むゆうの「土器」、唐津焼のような施釉し土器よりも焼成温度の高い「陶器」、そして、有田焼のような透明性のある白い地肌で高温焼成される「磁器」である。

 国語辞典などによれば、「炻器」は「磁器」と同様に高温焼成されるが、胎土が有色で透光性のない焼き物と定義される。しかし、日本人の場合、それも含めて「陶器」として認識するため、具体的な「炻器」のイメージが希薄なのである。

 例えば唐津焼は、分類上は「陶器」である。ところが、江戸時代初期の唐津焼は、「磁器」と同じ登り窯の同じ焼成室で併焼される。よって、「磁器」と同じ温度で焼成される有色の胎土の焼き物、つまり、定義上は「炻器」なのである。

 こうした食い違いが生じる原因は、「炻器」という区分が、明治期にヨーロッパの「stoneware」を直訳して導入したもので、区分としてまだ150年足らずの歴史しか有していないことが大きい。明治期の文献では「石器」の文字が使われることもあったが、現代では和製漢字の「炻器」が定着している。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

このエントリーをはてなブックマークに追加