佐賀県内に甚大な被害をもたらした8月末の「佐賀豪雨」から、間もなく1カ月。少しずつだが「日常」を取り戻してきた今、記憶が薄れないうちに防災体制の再検証が必要だ。台風シーズンはまだまだ続く。気を抜くことなく、準備を怠らないようにしたい。

 日本の温暖な気候が亜熱帯化しているのだろうか、死者を伴う風水害が全国で頻発。毎年、何らかの異常気象に悩まされ、それに伴い災害が発生するという前提で、準備をしなければならなくなった。

 防災の在り方を見つめ直す際、大前提として、「自分の命を守るのは、自分の責任」という意識を持つことが必要だろう。

 しかし、過去の大災害を自分の身に置き換えて考えることは少なく、「そんな大災害が自分の町に起きるはずがない」「自分の身に降りかかることはない」「災害が起きてもぎりぎりで乗り切れる」と、都合よく考えていないか。実際に災害が起きてからでは遅い。まずは、「災害が起きる」という前提に立ち、地域全体で危機意識を共有することが必要だ。

 どんなにひどい災害に遭っても、命が助かれば、立ち上がっていける。まずは「自分と家族の命を守ること」を考えよう。防災の知識を蓄え、防災グッズの購入や家族間の連絡方法の確認など家庭でできる取り組みを進めよう。今回の佐賀豪雨の被害について知人、友人で報告し合い、何が問題だったのか、何が役に立ったか、どんな情報が欲しかったのかなど経験を共有しておこう。そして、「(大丈夫)だろう」ではなく、「(駄目、危ない)かもしれない」という意識を持つようにしたい。度重なる災害で、携帯電話への緊急速報など、行政からの情報伝達も早くなった。警戒レベル3で高齢者や障害者は避難を始め、レベル4では全員が避難しなければならない。

 問題は、レベル3、レベル4と認知しても、「自分の身に災難が降りかかることはない」と考えてしまい、行動を起こさないことだ。安全に避難できるうちはまだ、道路も冠水していないだろう。自宅周辺だけを確認し、「まだ大丈夫」と思ってしまいがちだ。

 だが、道路の冠水が始まってからでは安全に避難できない。せめて、避難ルートをいくつか考え、家族で確認しておこう。避難時の携行品なども事前に準備できるはずだ。繰り返しになるが、防災で問われるのは住民の意識。一人一人のちょっとした備えが大きな「減災」につながる。

 自分の備えが済んだら、隣近所に声かけをしてほしい。今回の佐賀豪雨を受け、全国から大勢のボランティアが駆け付けてくれた。元気な人が傷ついた人、困っている人を助け、支える。当たり前のようだが、つながることの大切さをあらためて感じさせてくれた。

 災害発生の恐れが高まった時、頼りになるのは隣近所。そのためには、普段からの近所付き合いが大切だ。まずはあいさつを交わし合う関係をつくろう。高齢者や障害者など災害弱者が住みやすい町には支え合いという大切なソフトがある。そんな町は災害にも強いはずだ。復興や今後の防災策を描く中に、「地域の力」をつける取り組みを加えていきたい。(中島義彦)

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