何か願いごとをするとき、ふと手を合わせる。どうしてだろう。〈手を手に重ねる/手を膝に置く/手を肩にまわす/手で頰に触れる/手が背を撫なでる/手と心は仲がいい〉。谷川俊太郎さんの「手と心」という詩を思い返してみる◆人のことを時に「手」と呼ぶのも、心が通っているからだろうか。高齢化や若者の流出が進み、河川清掃などさまざまな地域活動の「手が足りない」現実がある。その土地で何百年と大切に受け継がれてきた祭りも「担い手」不足にあえいでいる◆県内は平野部、山間部、沿岸部にそれぞれ特色豊かな浮立や踊りが残っている。大人から子どもへ丁寧に「手間」をかけて「手厚く」心を込めた「手ほどき」がなければ、伝統は守れない◆昨年20年ぶりに復活した県伝承芸能祭が23日、佐賀市文化会館で開かれる。音おと成なしの面浮立(鹿島市)や府招浮立(伊万里市)など、出演する15団体の多くは住民たちが「手を尽くして」祭りを今に伝えてきた。深刻な豪雨被害に見舞われた大町町からも「聖ひじり太鼓」が勇壮に、復興への思いを込めて演奏する◆豊作や大漁を願う素朴な信仰心に触れ、観る側も大きな「拍手」を送る。祭りが人と人とを結ぶ。心が通い合う。会場には縁日の屋台も並び、家族連れで楽しめる。秋祭りのなつかしい空気を、胸いっぱい吸い込んでみたい。(桑)

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