きょうの彼岸の入りを前に先日、実家の墓掃除に出掛けた。草をむしり、周辺の木の枝を切り、墓石に水をかける。線香に火をつけていて、ふと思った。いったいこの墓はいつまで守る者がいるのだろう―◆墓は代々、永続的に継がれるものと当たり前のように思ってきた。ところが、少子化や単身世帯の増加、都市部への人口流出で管理が難しくなり、やがて引き継ぐ人が途絶えていくケースが増えるといわれている◆「無縁墓」。守る人がいなくなった墓をいう。熊本県人吉市が市内の全墓地を調査したことがある。すると1万5123基のうち、4割の6474基が無縁墓だった。山の奥地の墓地では8割にも達していた。実際に無縁墓は全国で広がっている◆一方で墓にはこだわらないという人も増えている。海に遺骨をまく海洋散骨もその例。「夫と同じ墓には入りたくない」と〈あの世離婚〉を望む女性は少なくないそうだ。逆に、南洋で戦死した夫のもとに行きたいと散骨を希望する人もいる◆家との関わりや自身のルーツを知るシンボルだった墓。だが、先祖の墓のそばに住み続ける人の方が少数派になっている今、負の遺産になりつつある。空き家と同様、荒れ放題のまま、朽ち果てていくとすればさみしい。あの世の住まいをどうするか。いまのうちに考えておきたいですね。(丸)

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