26年分の展覧会のはがきを懐かしそうに見つめる井手和子さん=佐賀市本庄町の高伝寺前村岡屋ギャラリー

 佐賀市本庄町の画廊「高伝寺前村岡屋ギャラリー」のオープン当初から、26年間運営を担ったコーディネーターの井手和子さん(72)=佐賀市=が20日に“引退”する。週替わりで、休みなく展覧会開催を続けてきたが、体力的なことを考慮し、後任にバトンタッチすることにした。井手さんは「私の人生そのもの。諦めずにやりきり、悔いはない」と笑顔を見せる。

 ギャラリーは和洋菓子の老舗、村岡屋の高伝寺前店内に構える。グラフィックデザイナーの故池田勝利さんが建築デザインを手掛け、1993年にオープン。絵画、陶芸、染織、デザインなど多彩なジャンルの展覧会を開いている。

 「和子さん、あんたがやりんしゃい」-。運営を始めたのは、故村岡央麻社長(当時)からの一言がきっかけだった。井手さんは「美術の知識もなく、右も左も分からなかった」が、社長に説得されて引き受けたという。

 初めは作家とのつながりもなかった。県内の展示会を回ったり、客から作家を紹介してもらったりと、ギャラリーの周知に奔走した。バッグには常に展覧会のチラシを入れ、知り合いに会うと手渡した。以来、年末年始も週替わりで展覧会が開かれた。

 これまでに手掛けた展覧会を振り返ると、佐賀市出身の作家が生前に念願した里帰り展を、家族が開催にこぎ着けたこともあった。井手さんは「展覧会にはドラマや作家の生きざまがある。一心同体の気持ちでやってきた」と振り返る。

 後任は同店スタッフの横田昌子さん(66)が務め「充実した展覧会になるよう頑張りたい」とバトンを受け継ぐ。井手さんは「人が代われば、また見えてくることがある。新しい風を吹かせて」と背中を押す。

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