被災者へ車を無料で貸し出す手続きをする日本カーシェアリング協会の担当者(左)。協会には申し込みが相次いでいる=武雄市

 8月の記録的な豪雨で佐賀県内では多くの車が浸水被害に遭った。マイカーを失った人たちの手助けにと、支援団体が始めた無料貸し出しサービスは申し込みが相次ぎ、順番待ちの状態だ。レンタカー店でも車両保険の特約補償による利用が急増、県外店から車を取り寄せて対応している。車を購入した人も納車時期が見通せず、「生活の足」の確保に腐心している。

 県内は公共交通機関が少なく、移動手段として自家用車が大きな役割を担っている。今回の浸水被害では廃車になって、多くの住民に影響が出ている。

 東日本大震災を機に発足した日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)は、今月7日から武雄市の旧北方支所そばで「災害サポート・レンタカー」として車を無料で貸し出している。乗用車や軽トラックなど15台を用意。これまでに個人や団体から60件近く申し込みを受け付け、約40件が順番待ちをしている。

 浸水で車3台が使用不能になった武雄市の男性(58)は「1台は車両保険ですぐレンタカーが来たが、その期限も9月末まで。あと2台は友人に借りてしのいでいる。購入した新車もまだ来ない。車がないと困るので、無料貸し出しに申し込んでいる」という。協会の吉澤武彦代表理事(40)は「今月中には50台ほどに増える予定で、順番待ちの人に貸し出しできる見込み」と支援を急ぐ。

 木寺石油は武雄中央給油所でレンタカー事業を一時中断し、2日から無料で被災住民に車を貸し出している。車5台を用意し、多くの人を支援できるよう1家族当たり1台、24時間を限度に今月20日まで提供している。約30件の利用があったという。

 レンタカー店には、車両保険の補償特約を求める住民を中心に利用が急増した。武雄市中心部に店舗を構える大手レンタカー店は15日までに被災した自宅の片付けや、ボランティア利用を含め220件近くに上った。通常の倍以上といい、足りない分は他県の店舗から融通してもらい対応した。

 市内の50代女性会社員は「バスや電車は時間帯によっては1時間に1本しかない。通勤に車は必要で、保険の特約で助かった。月末の貸出期間終了までに、頼んでいる中古車の納車が間に合えば」と願った。

 車を新たに買う人たちも、10月から8%が10%に引き上げられる消費税増税による負担増を心配する。メーカー側に在庫があれば月内納車も可能だが、車種などを指定すれば2、3カ月待つケースもあり、増税の影響を受けるという。商売に使うワゴン2台が漬かったという武雄市朝日町の女性(55)は「2台だから2%の差は大きい。車会社も納車時期は分からないと言っている」と気をもんでいる。

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